女子ハンマー投げは、村上来花(青森・弘前実3年)が60メートル99の大会新で優勝し、日本高校記録保持者の貫禄を示した。62メートル88の自己ベスト更新はならなかったが、1投目から大会記録を3度更新。公式大会通算4度目の60メートル超えで全国舞台に弾みをつけた。

東北に敵なし。村上が2位以下を13メートル近くも上回って快勝した。優勝も大会新も当たり前、自分自身との闘いだった。1投目にこれまでの大会記録(52メートル87)を3メートル以上更新する56メートル43をマークし、楽々トップに立った。さらに4投目には58メートル33、続く5投目には自己標準になる60メートルの大台突破にガッツポーズ。この日初めてポーカーフェースを崩した村上は「投げた瞬間、気持ちがよかった。大会新は意識していませんでしたが、素直にうれしい」と笑顔で振り返った。

昨秋の東北新人大会は60メートル02で優勝し、歴代高校生で初めて60メートルを突破。さらに今春の記録会では日本歴代6位の62メートル88をマークし、一躍脚光を浴びた。続く県春季選手権でも61メートル20と安定した成績を残してきたが、県高校総体は気負い過ぎて60メートルに届かなかった。メンタルコントロールにも取り組んできた村上はこの日、「世界も視野に入ってきたのに、こんなところで緊張していられない」と平常心を保ち続けて好成績につなげた。

中学時は短距離の選手だったが、弘前一中の恩師のアドバイスで投てきに転向。高校入学時から筋力トレーニングをこなしてベンチプレス、フルスクワットともに35~40キロ近くアップ。体幹強化と体重増で、投てきスタイルも3回転から4回転に増やして飛距離を伸ばした。もはや高校の枠を超え、昨年の日本選手権5位。全国高校総体にさきがけ、2年連続出場となる日本選手権(24日~、大阪・ヤンマースタジアム長居)では表彰台も見えてきた。67メートル77の日本記録まで約5メートル。「花が咲くように」と両親に「来花」と名づけられた村上は、「日本記録はいずれ出ると思う。練習の成果を出して楽しみたい」と気負うことなく自分自身との闘いを続ける。【佐々木雄高】