男子は世羅(広島)が2時間1分21秒で2年連続11回目、過去最多の優勝記録を更新した。第1区で佐久長聖(長野)と競り合った森下翔太(3年)が区間賞を奪い、4区で一時は洛南(京都)に逆転を許したが、最後は完勝だった。

女子は仙台育英(宮城)が1時間7分16秒で過去最多を更新する2大会ぶり5度目の優勝を飾った。

【全国高校駅伝・男子】世羅が2年連続11度目V/ライブ詳細

世羅の連覇へのゴールテープは、2年生の村上響が切った。その大役を本来は主将の塩出翔太(3年)が担うはずだった。昨年、アンカーとして歓喜のゴールを飾った塩出は大会1週間前に右大腿(だいたい)部の骨膜炎を発症。無念の欠場となった。チームとしても大黒柱を欠く大ピンチ。そんな危機を全員で補うのもチームの総力、駅伝の醍醐味(だいごみ)だ。

流れは1区の森下翔太(3年)が作った。「塩出が出られなくなって、自分が絶対にリードを作ると決めていました」

佐久長聖(長野)吉岡大翔(2年)との激しいデッドヒート。体が接触しそうな抜きつ抜かれつの接戦を森下が28分49秒、2秒差で制した。「レース前に塩出とも話しました。絶対に区間賞をとってやろうという思いでした」。優勝した昨年も1区を任されたが、区間9位に終わった。最後は塩出に助けられた部分があった。「取り返す気持ちでした」とその借りを取り戻す思いが後押しした。

就任2年目の新宅昭二監督(50)は「2位じゃダメなんで。優勝できてよかったです。選手たちが踏ん張ってくれた。大会記録、先輩たちを超えたいという気持ちを持ち続けた結果」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。決して順調ではなかった。春先も主力にけがが相次ぎ、大会直前に主将の離脱。「全くの想定外だった」と振り返る危機をチーム一丸で乗り越えた。

レース後の表彰式。控えメンバーに入っていた塩出も、メダルを掲げた。「自分の調整ミスで申し訳なかった。悔しいし、苦しかったが、全員が頑張ってくれた」。思いをこめてたすきをつなぐチームスポーツ。世羅がそんな駅伝を制し、最多優勝を更新した。【実藤健一】