来年1月2、3日に開催される第98回箱根駅伝まで今日27日であと1週間となった。優勝候補に急浮上しているのが2011年創部の東京国際大。10月の出雲駅伝で初出場初優勝の番狂わせを演じた。原動力はケニア人留学生ヴィンセント・イエゴン(3年)。1年で3区、2年で2区の区間新記録を樹立したエースの爆発力が、チームの全体の底上げにつながっている。

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ヴィンセントは日本の学生では別格のランナーだ。箱根では2020年に3区、21年に2区で立て続けに区間記録を更新してきた。

20年は21・4キロを59分25秒で走り、区間記録を2分以上も短縮。当時のハーフマラソン世界歴代5位前後に相当するペースだった。21年は1万メートルの現日本記録保持者の相沢晃(旭化成)が東洋大4年時につくった記録を8秒更新。「一番大きい目標は五輪」と、当然のように世界を意識する。

飛び抜けたエースの周囲も力をつけつつある。出雲では6人全員が区間5位以内。3区で奪った首位を譲ることなく、最終6区のヴィンセントにつないだ。5位だった11月の全日本大学駅伝でも丹所健が6区区間新で走って先頭に立つなど、終盤まで優勝を争った。

出雲の1区でトップと5秒差の3位だった山谷昌也は1万メートルの自己記録が丹所より速く、2人で日本人ダブルエースと呼ばれる。「達彦さんの生活面、練習などをまねしてきた」(丹所)と、2大会前の主力で東京五輪に1万メートルで出場した伊藤達彦(ホンダ)の背中を追いかけた後輩たちが育った。

箱根では前々回総合5位、前回10位。大志田秀次監督は「日本選手もかなりいい走りができるようになった」と自信をのぞかせ、3位以内を目標に掲げる。

◆東京国際大学 1965年(昭40)、国際商科大学として金子泰藏氏が創設。創立当初は商学部のみの単科大学だったが、86年に東京国際大学に校名変更。現在は商学部、経済学部、言語コミュニケーション学部など6学部を有する私立大学。埼玉・川越市や坂戸市などにキャンパスがある。