歴代最多14度優勝の中大は「たたき上げ世代」の4年生と「強い後輩」が融合し、名門復活を遂げた。22年ぶりにトップ3入りし、王者駒大と1分42秒差の総合2位。往路はエース吉居大和(3年)が「花の2区」で区間賞を獲得するなど全区間3年生以下で臨み、全員が5位以内でまとめた。一方、4年生4人と3年生1人が走った復路も全区間で2位から7位と粘り、優勝争いを演じてみせた。

名門も、数年前は低迷していた。4年生がルーキーだった20年は予選会を10位通過し、本大会は総合12位。翌21年の本戦も同順位と苦しんだ。主将の若林陽大と千守倫央は1年時、中沢雄大(いずれも4年)は2年時から箱根を経験したが、藤原正和監督(41)はこの学年を「力がないところからコツコツ積み上げてきたのが印象的。本当にたたき上げの世代」とエリートではないと強調する。

本人たちも「弱い学年」と自覚してきた。中沢の「エースがいない代で、戦力的にも他大学さんの4年生に劣る」という言葉は、この世代の共通認識。吉居大ら3年生以下がチームの軸で「申し訳ないと思いつつも、エースたちが戦える舞台、土台をつくるのが4年生の仕事」と言い聞かせ、後輩を支えた。

昨年の箱根は総合6位。10年ぶりにシード権を獲得し、今大会の躍進につなげた。中大復活の要因は、確かに世界を目指す吉居大の存在が大きい。しかし、4年生は走力で劣るものの「吉居が頑張れば自分らもやる、吉居の調子が悪いときは自分らが何とかする」と奮起。個々がレベルアップに励んだ。中沢は「強くなっていく発展途上のチームに携われてありがたい」と言った。中大の黄金時代到来は近い。【山田愛斗】