東京学館新潟に今春、2人の全中陸上のチャンピオンが入学する。21年の女子200メートルの覇者・秋沢理沙(燕・吉田中3年)と、22年男子400メートルで優勝した佐藤克樹(六日町中3年)だ。秋沢は東京学館新潟を指導する田村和宏監督(44=戸籍上は秋沢姓)の次女。高校でも全国チャンプを狙う2人は28日、高校進学後の思いをあふれさせた。

■秋沢理沙、母の持つ記録塗り替えた

天性のバネを生かして、秋沢は高校入学直後からスタートダッシュを図る。吉田中2年時に全中200メートルの優勝も、連覇を狙った昨年の全中は不出場。北信越予選100メートル決勝で右足ハムストリングスの肉離れを起こし、夏の全国大会を棒に振った。「すごく悔しくて、すごく落ち込みました」。そんな悔しさを高校でのパワーに変える。「1年から得意な200メートルでインターハイ優勝を目指したい。できれば100メートルも」とありあまる思いを明かした。

陸上を始めたのは中学1年から。才能はあっという間に開花した。2年でマークした100メートル11秒87は中学2年生の日本歴代最高記録。母絵理さん(47)が90年に作った県中学記録も、31年ぶりに塗り替えた。200メートルの自己記録24秒38は北信越中学記録。全中の優勝タイム24秒72は向かい風3・1メートルでマークした。中学3年時の肉離れという故障の長いトンネルを脱し、今年から勝負をかける。

100メートルの県記録を持つ田村監督は実父。「気を使わなくていいから、やりやすい」と秋沢は親子二人三脚も意に介さない。柔軟性のなさが弱点だが、解消のために風呂上がりのストレッチに父はつき合ってくれる。吉田南小1年から6年間ダンスに取り組んでいただけに、上半身と下半身をスムーズに連動させる能力を備えている。「少しオーバーストライド気味。筋肉に負担がかかりケガの危険性がある。一番、力を発揮できる走り方を模索していきたい」と田村監督は次女のまだまだ隠れている才能を高校で引き出していく。【涌井幹雄】

◆秋沢理沙(あきざわ・りさ)2007年(平19)8月4日生まれ、燕市出身。昨年の栃木国体県選手団入り。大会で故障が再発して100メートルは予選落ち、400メートルリレーは準決勝棄権。県中学記録は100メートル、200メートルで保持する。159センチ、47キロ。血液型A。

■佐藤克樹「インターハイでも優勝したい」

佐藤はインターハイで全中の再現を狙う。「高校でもう1回、全国で活躍したい。インターハイは200メートルと400メートルで優勝したい」。その思いを実現させるため、東京学館新潟進学を決断した。南魚沼市の親元を離れるが目標へまっしぐらだ。「レベルの高い練習をしたかった。楽しみの方が今は大きい」。

父卓哉さん(47)は陸上投てきの元選手で、母文さん(同)はスキー・クロスカントリーの元選手。父のパワーと母の心肺機能を引き継いだ佐藤は「400メートルの後半のきつい時にも体が動く。追い込める」と言う。今は中学の部活で1、2年生に交じり、下級生と同じ練習メニューに取り組んでいる。

昨年8月の全中400メートルの2位には同県の坂井駿介(松浜中3年)が入った。ライバルが身近にいるのは励みになる。「400メートルは一番きつい種目だと思っている。走り切った時は達成感がある」。佐藤はインターハイ優勝という、これ以上ない達成感を高校でも味わうつもりだ。

◆佐藤克樹(さとう・かつき)2007年(平19)6月3日生まれ、南魚沼市出身。陸上は北辰小の課外活動で始め、小3から大会に出場。400メートルは六日町中1年から取り組み始める。100メートルの県小学5年生記録14秒0(手動)を持つ。178センチ、64キロ。血液型B。