陸上のダイヤモンドリーグ第10戦のDNガラン大会が8月17日、スウェーデンのストックホルムで開催される。ロンドン五輪後に5試合が行われるダイヤモンドリーグ終盤戦の第1戦。オリンピックの余韻の残るなか、年間の総合ポイントで決まる種目別優勝者争いも佳境に入る。ハイレベルの戦いが繰り広げられそうだ。

 DNガラン大会にはロンドン五輪金メダリストが10人エントリーした。▼男子400メートル障害:フェリックス・サンチェス(34=ドミニカ共和国)三段跳び:クリスチャン・テイラー(22=アメリカ)砲丸投げ:トマス・マエフスキ(30=ポーランド)▼女子400メートル:サンヤ・リチャーズロス(27=アメリカ)3000メートル障害:ユリア・ザリポワ(26=ロシア)走り高跳び:アンナ・チチェロワ(30=ロシア)棒高跳び:ジェニファー・サー(30=アメリカ)走り幅跳び:ブリットニー・リース(25=アメリカ)砲丸投げ:ヴァレリー・アダムズ(27=ニュージーランド)円盤投げ:サンドラ・ペルコビッチ(22=クロアチア)

 記録的な期待が高いのは女子3000メートル障害のザリポワ。ペースメーカーがつかない五輪で9分06秒72の世界歴代3位で走った。昨年のテグ世界陸上に続くタイトルで選手権試合に強い。世界記録の8分58秒81まで約8秒。ペースメーカーのつくダイヤモンドリーグなら一気に記録を伸ばす可能性がある。

 豪華メンバーとなったのが女子の400メートルと走り幅跳び。

 400メートルは金のリチャーズロス以下、銀のクリスティン・オフルオグ(28=イギリス)、銅のディーディー・トロッター(29=アメリカ)とメダリスト全員が顔を揃えた。さらに昨年のテグ世界陸上優勝のアマントル・モントショー(29=ボツワナ)と、49秒16の今季世界最高を出しているアントニーナ・クリボシャプカ(25=ロシア)も雪辱戦に臨む。

 ロンドン五輪は気象条件が悪く49秒55とタイム的に物足りなかった。ストックホルムでは48秒台を期待したい。

 女子走り幅跳びはロンドン五輪の1位~7位が全員出場するが、今季7メートル10以上を3試合で跳んでいるリースの優位は動かない。ただ、ロンドン五輪では2位のエレナ・ソコロワ(26=ロシア)も7メートル07でリースに5センチ差と迫った。また、シーズンベストではアンナ・ナザロワ(26=ロシア)が7メートル11でリースに続いている。

 同じ試合で7メートル20台の応酬となれば、8年ぶりの快挙となる。

 女子砲丸投げのアダムスは試合直後は銀メダルだったが、ナジヤ・オスタプチュク(31=ベラルーシ)のドーピング失格により金メダルとなった。繰り上がりという印象もあるが、アダムスはこれで五輪2連勝、世界陸上も3連勝中と誰もが認める実力の持ち主。

 オスタプチュクが7月に投げている21メートル58の今季世界最高を超え、名実ともに世界一の座に就きたい。◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。