<全国高校バスケット選抜優勝大会:実践学園75-60市沼津>◇女子2回戦◇24日◇東京体育館

 13年ぶり出場の女子の市沼津(静岡)は実践学園(東京)に60-75で敗れ、初戦敗退した。フリースローを9本連続で外すなど、会場の雰囲気に押されて距離感がつかめず、ファウルも重ね思うようにプレーできなかった。悔しさを胸に、新チームは25日の練習試合から始動する。

 13年ぶりの大舞台で、市沼津は力を出し切れなかった。15点差の試合で、外れたフリースローは16本。2人が5ファウルで退場もした。最大22点差を終盤に追い上げたが及ばず、チーム最多15得点の大石真美(3年)は「練習の成果を出したかった」と涙を流した。

 「東京体育館」に力をのみ込まれた。普段と違う照明や天井の高さで距離感が合わず、シュートがことごとくリングに嫌われた。特にフリースローは、中2の時にここで試合経験がある大石こそ8投中7本決めたが、残る18投で成功は3本だけ。地元の実践学園には26本決められた。初めて5本外したという庄司萌子(2年)は「もっとシューティング練習で打っておけば良かった」と後悔した。

 ファウルトラブルも響いた。第2クオーターで大石、植松亜由美(2年)の2人が3ファウル。ベンチに下がったすきを突かれ、対策を練ったはずの相手エース藤木に35得点も許した。「分かっていたのに対応できなかった」と杉田野々子主将。大石は「最後の大会で40分間立って、思いをぶつけなきゃいけなかったのに…。すごく後悔しています」と自分を責めた。

 市沼津の13年ぶりの今大会は常識への挑戦だった。マリナーズ・イチローらが取り入れる「初動負荷」で筋力バランスを鍛え、筋トレは皆無。軽さを求め、靴底の厚いバスケット靴も履かない。そんな一線を画すスタイルで戦い、先発5人の平均身長で5センチも上回る相手にリバウンド数は同じ43本と渡り合った。大畑昌己監督(47)は「いい経験をした」と振り返った。

 新チームは25日、千葉でさっそく練習試合を行う。13得点の庄司は「これまで3年生に頼ってきた。1番上の代だという自覚を持ってやっていく」と覚悟を決めていた。【今村健人】