<全国高校バスケット選抜優勝大会:藤枝明誠117-73大阪学院大付>◇男子2回戦◇25日◇東京体育館

 男子の藤枝明誠が、絶対的エースを温存しても100点試合で快勝発進した。腰痛のため、大会個人最多得点記録を持つエース藤井祐真(3年)を先発から外したが、代わりに入った大垣慎之介(2年)が全国デビュー戦でチーム最多タイの20得点をマーク。順当に16強入りを果たして、初制覇に向けて順調なスタートを切った。26日の3回戦で大分舞鶴と対戦する。

 絶対的エースが控えに回っても、藤枝明誠には大垣がいた。取りつ取られつを演じたのは、初戦の緊張が残る第2クオーター(Q)途中まで。大垣の連続3点シュートで一気に突き放すと、敵陣からのプレスでボールを奪ってゴールを量産。大垣、鈴木友貴主将(3年)の20得点を最高に、終わってみれば登録15人中13人が得点する、100点試合で圧勝した。西塚建雄監督は「初戦にしてはまずまずかな」と満足げだった。

 ともすればチームの緊急事態だった。大会1週間前に、腰に違和感を覚えたエース藤井が離脱。この日は調整程度でしか起用できなかった。その穴を全国初舞台の大垣が埋めた。先発を告げられたのは試合直前のコート上。「ちょっとびっくりした。高校で全国は初めてなので、緊張して何をしたらいいか分からなかった」と、序盤は簡単なドリブルすらボールが手に付かないほどだった。

 だが「全国総体は我慢して使わなかったが、潜在能力は藤井以上」(西塚監督)という評価はダテではなかった。徐々に雰囲気に慣れると、第2、3Qでは3点シュートを連発。チームを一気に波に乗せた。西塚監督は「まだまだ点が取れる。今日の出来は50%ぐらい」と手厳しいが、鈴木主将は「3点シュートをよく決めてくれた。速攻に入りやすいし、やりやすい」と後輩の全国デビュー戦を評価した。

 隣のコートでは、4連覇を狙う洛南(京都)が途中まで負けていた。京都生まれの大垣の実家は、洛南のすぐ近く。中学の京都府選抜時代の仲間もいる強豪校とは、勝ち進めば準々決勝で当たる。「負けてくれんかなって思ってました」と笑わせながらも「日本一を目指しているので(洛南戦は)通過点としか思っていない」と言い切った。エース温存で、また1つ厚みを増した選手層。明誠が好発進した。【今村健人】