<全国高校バスケット選抜優勝大会:明成72-64延岡学園>◇男子準々決勝◇27日◇東京体育館

 男子の明成(宮城)が高校総体準優勝の延岡学園(宮崎)を破り、2年ぶりの準決勝進出を決めた。先行されたが、畠山俊樹主将(3年)を中心に得意の速攻で追い上げ、第4クオーター(Q)開始2分に逆転。その後も点差を広げ、振り切った。

 40分間のドラマだった。200センチのセネガル人留学生エリマン・プイ(2年)ら高さのある延岡学園にリードされたが、常に5点ほどの差でついて行った。粘り強いディフェンスから、ルーズボールを奪っては速攻につなげた。試合終了まで残り8分で、ついに逆転。勝利の瞬間、畠山はガッツポーズしながら号泣した。

 昨年5月から半年間、畠山は体調不良でバスケットから遠ざかった。復帰後、公式戦初の40分間フル出場。執念でルーズボールを追う姿が、チームを奮い立たせた。「自分たちのバスケットができた。自分自身も40分間、頑張り切れた」と声を弾ませた。

 00年に仙台が今大会を連覇。bjリーグ仙台89ERSの志村雄彦(26)が中心選手だった。小3だった畠山は試合をビデオに録り、毎日見ては感動していたという。仙台の監督だった佐藤久夫監督(60)の元でバスケットをやりたい-と明成入りを決意。「怒られ通しだったけど、ついていきました。それが今日の試合に生きました」という。

 佐藤監督の目も赤くなっていた。「試合終了の残り5分が勝負だ。それまで我慢しろ」と選手たちに言い聞かせた。「必ず終盤チャンスが来ると信じていた。いいゲームができた。選手たちの気迫の勝利」とたたえた。

 初の決勝進出をかけて28日の準決勝は、洛南(京都)の4連覇を阻止した福岡大大濠(福岡)と対戦。畠山は「力は相手が上だが、気持ちと一生懸命さでは負けない。勝って、両親や学校の先生たちに恩返ししたい」と前進あるのみだ。【北村宏平】