5月25日、第7回となる「ジャパンウォーク in 東京」に参加してきた。2020年に東京で開かれるオリンピック・パラリンピック競技大会を盛り上げるために始まったイベントだ。

内容はその名の通り、みんなで「ウォーク」するのだ。コースは、ロング(約15キロ)ミドル(約10キロ)ショート(約5キロ)と分かれている。5000人を募集して、完売した。当初は3000人程度の参加者だったが、回数を重ねるごとにリピーターも増えてきた。

どこに魅力があるのだろうか?

一番は「誰でも誘える」というところにあると思う。

たとえば友人を誘おうと思い立ったとき、その人たちが普段どの程度運動をしているとか、していないとか、あまり考えずに誘うことができる。

歩くということにすごくスポーツの可能性も感じるし、車いすで参加する場合でも、みんなが歩くということであれば、車いすでない人と同じスピードでゆっくり景色を見ながら楽しめる。

今回は東京2020大会のベニュー(会場)が、コース途中にあることが地図で紹介されていた。選手村建設中の目の前を通り、水泳会場のアクアティックセンターや、有明体操競技場など、完成しつつあるベニューを見ながら歩けることも、魅力の1つだったのではないだろうか。

毎回毎回参加していただいている方とここで再会することが、私にとっては大きな魅力。スポーツというフィールドでは会話が弾む。区間を決めて歩くという共通の目的の中で、会話がしやすくなる。普段でもプールに行くと、泳ぎに来ている方とは会話が弾む。人との関係構築が目的とは考えず、水泳をすることが目的だから、ストレスもない。

私は、現役中の一番の財産は、競泳を通してたくさんの友人が世界中にできたことだと思っている。たくさんの価値観に触れたし、自分がとてもちっぽけに思えたりもした。

スポーツの価値の根底にあるのは「相手を知り、争いがなくなること」なのではないかと、私は感じる。もちろんスポーツには、健康を保つ、努力を学ぶ、などたくさんの要素があるが、スポーツを通して相手を知り、相手の国を知り、文化を知ることで、この広い世界のいろんなところに友達ができ、その人が住む地域に興味がわく。

東日本大震災の時は、一緒にオリンピックに出場した海外のスイマーたちから「大丈夫か?」「被害は?」など、たくさんのメッセージをもらった。本当に感動した。間違いなくこれは財産だ、と確信したことを今でも覚えている。

話が少し広がってしまったが、このジャパンウォークというイベントにも、スポーツの持つ可能性が多く存在するということだ。日本全国から参加者が集まり、お互いの地域を知り、興味を持つ。そんなところに魅力があるのだ。

私は最初から参加させていただいているし、以前もこのコラムでジャパンウォークのことを書いたことがある。活気のあるイベントだといつも感じる。

これほどの規模になると、たくさんの人が準備、運営には必要となる。大変な労力がかかっている。

しかし、私はまた参加したいと感じる。

大会の紹介には「障がいのある方もない方、だれもが分け隔てなく、ともに暮らす社会を目指します。そのためのきっかけ作りとして、多くのオリンピアン・パラリンピアンと一緒に歩き、一緒に障がい者スポーツなどを楽しめる、複数のプログラムをご用意します」と書いてある。

実際、今回は3×3(3人制)バスケットボール、ボッチャ、ブラインドサッカー(5人制サッカー)、車いすバスケットボールの体験などができた。

これからもこのイベントを応援したいし、スポーツの魅力、可能性はいろんな人の心の中にあるのだろうと想像したい。

今回も参加させていただき、ありがとうございました。

(伊藤華英=北京、ロンドン五輪競泳代表)