日本中が熱狂したWBC。

14年ぶりに優勝を果たした侍ジャパンは、優勝以上に大切なものを教えてくれたと感じている。

正直、今までは熱が入るほど野球観戦はしてこなかったが、今回は自分でも驚くくらいにテレビにくぎ付けになった。

世界一という目標をかかげ勝ち進むことももちろん素晴らしく、試合そのものに興奮や感動を与えてくれたが、それ以上に選手たちが「野球を心底楽しんでいる姿」がとても輝いてみえた。

日本対米国 優勝しトロフィーを掲げる大谷(左から2人目)(撮影・垰建太)
日本対米国 優勝しトロフィーを掲げる大谷(左から2人目)(撮影・垰建太)

私自身が感じた世間を魅了した侍ジャパンの素晴らしさ4つを書きたいと思う。

<1>野球というスポーツを通して夢や目標を持ち、そこに向かって努力をする姿。

試合1つ1つ、1球1球を大切にする。当たり前のようで、これらを根気強く集中して行うのは極めて難しいと思う。そして、苦楽を含めて野球が好きで楽しいという気持ちを持ち続けられることも素晴らしいと感じた。

<2>独り善がりではなく、仲間や相手チームに対する敬意、尊敬の気持ちを持つ姿。

この部分は強さだけではない侍ジャパンの魅力をみんなが知った部分だと思う。

自分第一ではなく、チームのための役割を1人1人が果たした結果だと思うが、こんなに見ていて気持ちの良い試合、選手たちは今までで初めてだった。

<3>活躍をしても謙虚な姿。

MVPで今大会大活躍だった大谷翔平選手はじめ、活躍している選手たちのインタビューを聞いていると、自分が活躍したプレーを評価するのではなく、仲間の存在の大切さや、今回は運が良かった、感謝の気持ちをコメントをしていた。こうした謙虚な姿が応援している方により魅力が伝わったと感じた。

<4>未来の野球のために戦う姿。

監督や選手が発する「野球のカッコ良さが伝わったら」というコメントが印象的だった。

自分たちの夢が未来につながる。その場の喜びだけでなく、その先にある次世代の輝きまで考えプレーしている姿は、野球少年はじめ、子供たちの心をわしづかみにしたと感じる。

自らの活躍で野球の魅力を体現し、フィールドの中に限らず、外でも人としての魅力を伝えてくれた。

国立競技場で行ったランニングイベント
国立競技場で行ったランニングイベント
東金で行ったランニングイベント
東金で行ったランニングイベント

WBCが終わった後、国立競技場と東金アリーナにて、2つのランニングイベントに携わった。

私は毎回イベントの際に、参加してくれたみなさんに「夢」を聞く。

今回も、「野球選手」「サッカー選手」「お花屋さん」「ケーキ屋さん」「宇宙飛行士」。中には「魔法使い」になりたいというかわいらしい夢もあった。

「こうなりたい」と思った時から、その夢がかなう可能性があると思う。

夢をかなえることができるかもしれないし、そうでないかもしれない。

それでも夢を持ち、夢の達成に向けて努力することは自分自身の財産にもなり周りの人たちに元気を与えることもできる。

スポーツには夢を与え、みんなの心を1つにする力があると改めて感じた。

私も微力ではあるが、これからも携わっている方々の夢や目標が達成できるサポートや環境作りをし、笑顔の輪が広まる活動をしていきたいと思う。(加藤友里恵=リオデジャネイロ五輪トライアスロン代表)

東金で行ったランニングイベント後に記念撮影
東金で行ったランニングイベント後に記念撮影