今月20日から25日にかけて、日環アリーナ栃木では飛び込みの合同強化合宿(通称JAPAN合宿)が実施された。参加したのは、ナショナル、Jrナショナル、エリート小学生に選ばれた選手たち。

これから世界に羽ばたくジュニアの選手たちが、現役オリンピアンたちとともに練習を行った。

限られた時間。選手たちは、日頃の練習では味わえない特別な日々を過ごした。

今回の合宿では、ただ練習をともにするだけではなかった。ナショナルチームのコーチや選手たちから、基礎やトレーニングを指導してもらったり、身体能力測定も行われた。その他にも、世界で活躍している三上紗也可選手(日体大)の経験談を聞いたり、世界ジュニア選手権の報告会などさまざまな学びの時間も組まれていた。

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私が小学1年生で飛び込みを始めた頃、所属していた小松ダイビングの先輩たちは、すでにJAPAN合宿に参加していた。合宿への参加資格は全国大会で3位以内に入ること。メンバーに選ばれると「JAPAN」のロゴ入りのジャージや水着がユニホームとして支給される。

日本代表の水着を憧れの眼差しで見ていると、先輩は貴重な水着を1枚くれた。どこにも売っていない特別な水着。とても嬉しかった。家に帰ってすぐに試着した。鏡越しに見る自分の水着姿。「JAPAN」という文字にドキドキした。しかし、これは先輩が強化選手に選ばれてもらった水着。まだ自分には着る資格はない。負けず嫌いな性格もあり、練習で着用することは出来なかった。

いつか自分の力で手に入れた時にこの水着を着よう。そう心に決めてずっと大切にしまってあった。

そして、小学4年生の時。初めて全国大会で優勝し、JAPAN合宿に招集された。そこでようやく手にした憧れの水着。やっと堂々と着られる時がきたと嬉しくなった。

私たちの時代は毎年、年末にJAPAN合宿が行われていた。試合ではない時に、全国の友人に会えることも楽しみの1つだった。ライバルでありながら同じ目標を持つ同志。学校での友達とは違う存在だった。合宿では、早朝から練習が始まり、夜は寝る前までみっちりスケジュールが組まれている。ほとんど自由時間などなかったが、つらい練習もみんなとなら楽しかった。

それからは、全国にいる友人たちと試合で会う度に「みんなで一緒にJAPAN合宿に行こう」とお互いを励まし合うようになった。

水着1枚に憧れて、目標を持った小学生時代。きっと今回の合宿でも、初めて「JAPAN」のユニホームを手にし、胸が高鳴った選手もいるのではないだろうか。現役の日本代表選手との時間もいい刺激になったに違いない。今回選ばれたジュニア選手の中から、未来のオリンピアンが誕生する日を楽しみにしている。(中川真依=北京、ロンドン五輪飛び込み代表)

小学生による飛び込み合宿。世界に羽ばたくジュニアの選手たちが現役オリンピアンとともに練習した
小学生による飛び込み合宿。世界に羽ばたくジュニアの選手たちが現役オリンピアンとともに練習した