千代の富士

横綱千代の富士(中央)は師匠の九重親方(右)、鈴木宗男衆議院議員(左)とともに会見で引退を発表した
横綱千代の富士(中央)は師匠の九重親方(右)、鈴木宗男衆議院議員(左)とともに会見で引退を発表した

「体力の限界」まで言った後、千代の富士には万感の思いが突き上げた。数秒後「気力もなくなり引退することになりました」と絞り出した。幕内優勝31回、国民栄誉賞横綱は激動の相撲人生を生きた。小さな大横綱として細身ながら、スピード、引き締まった体、眼光の鋭さなどで「ウルフ」の異名を取った。引退を決意した一番は「初日貴花田に負けて…」。師匠九重は「体力的にはボロボロ。それでも頑張ったのは次の世代が育つまで、という気持ちがあったからだろう。いい引き際で、見事だと思う」と涙した。21年の土俵生活に別れを告げた日は、20年前に大鵬が引退した日と重なった。(/_;)

<大相撲・1991年5月15日掲載>