いよいよ夏が始まります!

世界水泳が終わり、コロナ禍がおさまらない状況だが、ジュニアスイマーの全国中学校体育大会、インターハイ(高校総体)、そして大学生たちの暑い夏が始まろうとしている。

今年は大きな国際大会が世界選手権のみになってしまったため、国内の全国大会はより一層、貴重なものになるだろう。そして今は大会に向けて、まだまだ強化中のはずだ。

よく『強化期間の苦しい時期は何を考えて乗り越えましたか?』と質問されることがある。

私はジュニアの時は水泳だけを頑張ればいい、と思っていた。練習も自分の気分で行っていたから、好不調の波が激しかった。そのせいで、大事な大会で思った結果が出ないことの方が圧倒的に多かった。

本気で水泳に向き合えない日々の中で、送り迎えをしてくれていた母が「あなたの結果が出ないのは私も悲しい」と言われたことがある。

自分1人で水泳をして、自分だけが落ち込めばいいと思うことに、慣れてきてしまっていた時の言葉だった。水泳をする心構えのなさが恥ずかしかった。

自分1人でしていたと思っていた水泳に、誰かが携わっていることを知って、きつい練習にも真正面から打ち込んだ。

朝練習の時も、行きたくないと思ったことは多々あったが、朝ごはんを作り、お弁当を準備してくれる母の時間を無駄にできない、と思っていた。何よりも、試合で格好悪い姿を見せたくなかった。

きつい練習の中で弱い自分が出てきて「やめようかな」「今日くらいいいや」と思うことは普通にある。その時に試合で泣いている自分を想像してほしい。そうなりたくないと思うはずだ。そして、ほんの少し頑張れるようになる。

私は高校2年生の時、これに気づかされ、引退する29歳まできつくなった時の対処法として使っていた。

この強化期間、多くのスイマーに試してもらいたい。そして全国大会で自分の思っている以上の力を出せた時、ものすごく自信になるのだ。そうなったら水泳することが、楽しくてワクワクするはずだ。

(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「清水咲子のなんでもさっこ節」)

◆清水咲子(しみず・さきこ)1992年(平4)4月20日、栃木県生まれ。作新学院高-日体大-ミキハウス。本職は400メートル個人メドレー。14年日本選手権初優勝。16年リオデジャネイロ五輪は準決勝で日本新の4分34秒66をマーク。決勝に進出して8位入賞。17年世界選手権は5位に入った。21年4月の日本選手権をもって現役引退した。今後はトップ選手を育てる指導者を目指し、4月からは日体大大学院に進学。同時に水泳部競泳ブロック監督も務める。