24大会ぶり5度目出場の筑紫(福岡)が、東京朝鮮高(東京第2)を下した。警戒したFW戦で苦しめられたが、19-19の同点で迎えた後半26分、花園へ磨きをかけてきた伝統のモール攻撃で勝ち越した。全国優勝5度を誇り、16大会連続出場中の東福岡が県予選で立ちふさがってきたが、今回は第95回大会の記念枠で出場。花園2勝目を挙げた筑紫は、30日の2回戦で大阪桐蔭(大阪第2)と対戦する。

 筑紫が24大会ぶりの花園に魂を込めた。長く東福岡の分厚い壁を越えられずに今年も福岡県予選決勝で5-52の大敗を喫した。だが今回、大会記念枠で九州地区の代表として得た悲願。地元ファンらに期待される中、初戦を突破したOBの中村監督は「ホッとしている。九州代表枠なので全ブロック、2位チームの思いも背負っている。簡単に負けるわけにいかなかった」と安堵(あんど)した。

 この日、ライバル東福岡の藤田監督や選手もスタンド応援に駆けつけ勇気づけられたという。中村監督は「多くの人に支えられてきた。西村総監督への恩返しのためにも1つでも多く勝ちたい」。チーム一丸となり、13年まで監督として20年間指揮を執り、礎を築いた西村総監督への感謝の思いも胸に戦った。

 警戒した東京朝鮮高の強力FWにモールで3トライを奪われた。だがプロップ北は「絶対負けられなかった。みんなの意地だった」。19-19で迎えた後半26分、筑紫も伝統の「必殺モール」で応戦だ。ゴール前5メートルラックからのモールを右斜め方向に押すことで、守備が薄くなった左中間にNO8久保山がトライ。久保山は「最後はやられたモールで取ると決めていた」。執念でやり返した。

 1日1時間半以上、モールの練習に割く日もあった。北が「最後は意識がもうろうとして意地だけで動かした」。福岡県予選後、中村監督は「東福岡に当たり負けしたので1対1のタックルやFWの近場でのディフェンスを徹底し、ウエートも増やした」とフィジカル強化。大会直前に東福岡と行った合同練習も力になった。

 2回戦はシードの大阪桐蔭と対戦する。中村監督は「優勝筆頭候補だが、できることを精いっぱいやり、力を出しきりたい」。最高成績は91年度の2回戦。初の1大会2勝へ死力を尽くす。【菊川光一】