関東勢で唯一ベスト8に残った桐蔭学園(神奈川)は、天理(奈良)に31-12で勝ち、2大会ぶりの4強入りを果たした。高校日本代表候補のSH斎藤直人主将(3年)が1トライ4G1PGを決めた。7日の準決勝は石見智翠館(島根)との対戦になり、「東の雄」として5大会ぶり優勝を目指す。

 関東の意地を見せつけた。スタンドに2万800人の観衆が押し寄せ、相手は奈良の天理。アウェーの状況でもフィフティーンは序盤から圧倒した。

 7点リードの前半15分には、自陣22メートルライン内のスクラムから一気につないで斎藤直がトライ。同27分にはゴール前のラックから斎藤直がループの動きを見せた。<9>→<8>→<9>→<12>とつないでCTB斉藤大のトライをアシスト。後半早々に天理にトライを奪われても同5分に、斎藤直が約40メートルのPGで突き放した。

 身長163センチの小兵が大黒柱だ。斎藤直は2大会前の花園を経験し、主将としてチームをけん引。藤原監督も「ゲームメークができるし、安定感がある」と期待を寄せる。正確なパスだけでなく両足で蹴れるキックも魅力。1日の佐賀工戦で9本中5本しか成功しなかったキックも2日で修正。ボールをセットする前、マーカーの裏に友人に書いてもらったメッセージを読んで気持ちを落ち着かせ、1歩目を短く出して膝を軽く曲げる。「力で蹴るタイプじゃないので、ボールを見て足を振り抜くだけ」。前日2日に約10本だけ蹴りこんだいいイメージで、6本中5本を決めた。2年時から高校日本代表に選ばれ、19年のW杯も視野に入れる逸材の存在感は今大会でも際だつ。

 7日の準決勝は石見智翠館に決まった。斎藤直は「モールが強くて、BKも速い。いいランナーがいるのでしっかり対策したい」。勝てば2大会前の決勝で当たった東海大仰星と再戦の可能性もある。西高東低に終止符を打つべく、頂点まで突き進む。【青木沙耶香】

 ◆斎藤直人(さいとう・なおと)1997年(平9)8月26日、横浜市生まれ。3歳の頃、父の影響でラグビーを始め、桐蔭学園では1年時にリザーブとして花園を経験。2年で高校日本代表に選出される。目標の選手は小川高広(東芝)。家族は両親と姉。163センチ、66キロ。