現校名で最後の大会となる東海大四(北海道第1)が2-0のストレートで霞ケ浦(茨城)を下し、2年ぶりの初戦突破を果たした。ミドルブロッカーの土田拓人(3年)がチーム一の12点と活躍。過去6度の全国制覇(選抜優勝大会含む)を誇る伝統校をけん引した。

 ふっきれた東海大四の伏兵・土田が、この日の主役だった。デッドヒートの続いた第1セット終盤には、3連続ポイントで流れを引き寄せる。第2セットも強いスパイクで、相手コートを引き裂いた。チーム最多の12得点。「どんな球でも打ちに行こうと思っていた」と、188センチのヒーローは笑顔で胸を張った。松田修一監督(29)は「今まで見たことのないプレー」と目を丸くした。

 入学から順風満帆ではなかった。白糠中3年の選抜大会では全道優勝。鳴り物入りで進学したが、昨年までは、ピンチサーバーなどでの出場に限られた。「同期の古川(慎=3年)が1年から出ていて悔しかった。レギュラーになりたくて、動きを速くするトレーニングをしてきた」という。

 全国制覇6度の古豪も低迷が続いた。全国大会では昨年のこの大会からすべて初戦敗退。3月の私学大会から総体、国体まで、1セットも奪えなかった。今大会直前に静岡で行った合宿には、黄金時代を指揮した石田時郎元監督(74)が訪れ、てこ入れをした。「緊張するので、石田監督の姿を見ないようにプレーした」と土田。久しぶりの勝利で恩返しをし、石田元監督も「若い選手に元気にしてもらった」と、頬を緩ませた。

 高橋恭輔主将(3年)は「直前合宿でも全然ダメだったのに、今日は初めて土田を“神”だと思った」とべたぼめした。今日の2回戦では、13年連続出場中の近江(滋賀)と対戦する。4月には東海大札幌に校名変更するため、負ければ即「東海大四」のラストゲーム。「明日も今日みたいなプレーを見せます」と土田。覚醒した男とともに、東海大四の進撃が続く。【中島洋尚】