今季グランプリ(GP)ファイナル銀メダリストの宮原知子(17=大阪・関大高)が、72・48点の自己ベストで首位発進した。昨年12月、GPファイナルが行われたバルセロナでは本場のフラメンコ練習を体験。表現力を高め、ISU公認の大会では初の70点超えをマークした。初優勝をかけたフリーはあす20日に行われる。

 真っ赤な衣装を身にまとった宮原が、台北のリンクにスペインの風を呼び込んだ。今季のSPはフラメンコがベースの「ファイア・ダンス」。見せ場は中盤。カスタネットの細かいリズムを合図に、両手を頭の上に上げ、腰をくねらすと、観客から歓声があがる。「もっともっと盛り上がってほしい」。ギターの調べが一気に激しさを増すとともに、挑発するような目線を観客に向け、150センチの小さな体いっぱいで妖艶なダンサーを演じた。技も表現も納得のいく出来。思わず決めポーズとともに、白い歯をみせて笑った。

 本場スペインでの経験が演技に生きている。GPファイナルのエキシビション前の時間を使い、フラメンコのプロダンサーから約2時間のレッスンを受けた。足をどう踏みならすのか。手や目をどう動かすのか。実際に見て、まねて「動画で見ているのとは違う。具体的に分かった」と身に染みこませた。この日も「一番ステップを思いきって踊れたのが良かった」。演じるごとに、プログラムは深みを増していく。

 「目標だった」という国際スケート連盟(ISU)公認大会でのSP70点超えを達成した。日本人では浅田真央、鈴木明子に次ぐ3人目で、歴代9位に相当する。昨年GPファイナルで表彰台に立ち、続く全日本選手権では2連覇を達成。浜田美栄コーチは「人の前ですべることを楽しみにしているような気がする。もともと強い心を持つ子だけど、経験と気持ちがつながってきたのかな」と成長を語る。フリーへ向け、宮原は「今できることをしっかりやりたい」。初優勝がしっかり視野に入った。【高場泉穂】