山形商の「アモーレバスケ」がさく裂した。第4クオーター(Q)、点差が30点に開くと客席の応援団からコールが飛んだ。「せーの、アモーレ!」。この日に婚約会見を行ったサッカー日本代表の長友の名せりふがサブコートにこだました。熱いラブコールの相手は佐藤美羽主将(3年)。もともとは前十字靱帯(じんたい)の負傷で出場時間が限られる石垣加代(3年)へのリクエストだったそうだが、なぜか佐藤の得点シーンで仲間が絶叫。「言われているのが分からなかった」と笑うが、15得点8アシストと、チームを快勝に導いた。

 声援よろしく愛にあふれたバスケットだ。佐藤は「仲の良さが試合に出ます」と胸を張る。前日の初戦を快勝したことで緊張もなくなり、とにかく走った。豊富な運動量から立ち位置をローテーションし、相手との守備のズレを生む。フリーになったところへ佐藤がラストパスを供給した。「アシストする時は自分が決められない時なんで、『お願い!』っていう気持ちでパスします」とシュートを決める選手たちへ、愛を込める。U-18日本代表にも選出された実力で、ゲームをコントロールし続けた。

 次戦は3冠を狙う強豪の桜花学園(愛知)と。佐藤とは日本代表でチームメートだった仲間が6人いる。「今までのチームとは違う格上の相手。勝とうとするのではなく、力を出し切ってベストゲームをしたい」と意気込んだ。