2連覇を目指すBシード東海大仰星(大阪第1)が29-21でAシード桐蔭学園(神奈川)を下し、決勝進出を決めた。前半は7-14で折り返したが、フランカー山田生真主将(3年)を中心に後半の3トライで逆転。昨年4月の全国選抜大会準決勝で26-29と敗れ、昨季から続いた公式戦49連勝を止められた相手に雪辱を果たした。5度目の優勝へ、明日7日の決勝では今季3冠に王手をかけるAシード東福岡とぶつかる。

 ロスタイム1分を過ぎた後半33分。相手ペナルティーを告げる笛で、東海大仰星の喜びは頂点に達した。たった1トライで逆転される恐怖感を、全員が浴びせ続けた約5分間のタックルで振り払った。山田は「粘り強くディフェンスできたのが勝因」と胸を張った。

 東の横綱はしぶとかった。昨春の選抜大会では、前半26-17から逆転負け。この日も前半7分に先制トライを許し、追いかける状況が続いた。後半7分にフランカー山村幹太(3年)のトライで勝ち越しに成功。12点差から5点差に迫られるトライを許した同26分、山田は声を張り上げた。

 「スタンドのやつらを、泣かすわけにはいかへんぞ!」

 昨季もレギュラーで優勝を味わった男はこの1年間、理想の主将像を追って深みにはまった。昨年9月の大阪府予選前、仲間から受け取ったのは105枚の手紙。自分をのぞく部員が1人1枚、主将宛てに思いを記す恒例行事だった。ケガをした仲間からは「シーズン前にごめんな」とあった。「お前を日本一のキャプテンにすると決めている」の文字には胸も詰まった。山田は「僕にできることをやる」と決めている。口癖は「連覇ではなく、僕たちのチームで日本一になる」。

 全員で貫き通した集中力を、湯浅監督は「全国大会中にこんなに伸びるチームがあるのか」とたたえた。だが、主将は喜びを沈める。「ヒガシ(東福岡)は特別な相手。負けられない」。決勝前には、宿舎に持ち込んだ105通の手紙を読み返すと決めている。1年の完結は106人の笑顔以外にない。【松本航】

 ◆冬のラグビーとサッカーのアベック優勝 ラグビーの全国高校大会とサッカーの全国高校選手権を同一年度に優勝した学校は過去にない。東海大仰星のラグビー部は17度目の出場で、優勝4度、準優勝1度。サッカー部は5度目の出場で、ベスト8が1度。アベック出場は01年度のみ。アベック優勝を成し遂げれば史上初の快挙となる。

 ◆大阪勢対福岡勢の決勝成績 過去5回対戦して大阪勢が4勝1敗。大阪勢は06年度大会まで4連勝した。今大会の東海大仰星と東福岡の対戦成績は過去1勝1敗の五分。06年度大会は東海大仰星が19-5で勝利し、11年度大会は東福岡が36-24で勝った。