シンクロナイズドスイミングのチーム・テクニカルルーティン(TR)決勝が行われ、日本(乾、中村、中牧、阿久津、福村、河野、丸茂、小俣)が今大会メダル1号を獲得した。93・1590点で、ライバルのウクライナを抑えて3位に入った。

 ◇  ◇

 この銅は流れを変える意味ですごく大きいです。4位だったデュエットTR、チームTRと立て続けに落とせば、今大会だけでなく、20年東京五輪に向けて、暗黒の時代が来てもおかしくなかった。よくぞここで持ちこたえたと思います。

 決勝は日本の武器である力強さと一体感が出ました。中国、ウクライナなど手足の長い国に比べて実際に水面から出ている足の長さは足りないと思いますが、それを補うのは上げた足の力強さ、正確性、一体感です。これが出ている日本はちゃんと点がもらえます。

 新メンバーは、世界で戦う恐ろしさを知らなかったでしょう。デュエットTR4位で涙する乾、中村組をそばで見て、言葉で言われても気づけない、本当の恐ろしさを感じたと思います。それは何百回分の練習以上の意味がある。あの負けで新メンバーに覚悟のスイッチが入ったのでしょう。

 近年の世界選手権はメダルを1個とっても続かない傾向があります。ウクライナの立場で考えれば、今回もそうです。「勢いに乗って、さあメダル」と軽々しく言えませんが、表彰台で浮かれた様子はなかったので、選手も分かっているでしょう。(88年ソウル五輪ソロ、デュエット銅メダル)