競泳で五輪4大会に出場し、昨年引退した松田丈志さん(33)の育った宮崎県延岡市の東海(とうみ)スイミングクラブが、施設の老朽化による建て替えと指導者不足のため、9月末で活動を停止することになった。クラブの代表で、松田さんを指導した久世由美子コーチ(70)が14日、明らかにした。

 ビニールハウスで覆った市立中学校の屋外プールで活動するクラブとして有名だった。松田さんは4歳からここで練習してトップレベルに成長。2008年北京、12年ロンドン両五輪の男子200メートルバタフライで銅、ロンドンの400メートルメドレーリレーは銀、16年リオデジャネイロ五輪の800メートルリレーは銅のメダルを得た。「多くの人に支えられ、水泳だけでなく人として成長させてもらった場所。寂しい気持ちはあるが、誇りに思っている」と語った。

 クラブは1979年に設立された。現在は久世コーチのほか、3人がボランティアで指導しているが、継続が難しくなったという。在籍している約40人のスイマーの大半は近隣のクラブに移る予定。久世コーチは「ボランティアに支えられながら38年も続けられて、五輪選手を出せたことは誇りに思う」と述べた。