予選4位の白井健三(21=日体大)が86・431点で3位に入り、個人総合で自身初の表彰台となる銅メダルを獲得した。

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 白井は初めての個人総合にもかかわらず、素晴らしい戦いだった。まず、1種目目の床運動であれだけ力を出せたことが大きい。また、6種目目の鉄棒では金メダルがかかる場面で、落ちるリスクを顧みず「屈身コバチ」を思い切って行った。最後まで気持ちの強さが光った。世界に個人総合でも戦えるということを十分証明できたし、今後内村のバトンを受け継ぐにふさわしい選手と言っていいと思う。あん馬とつり輪のDスコアはまだまだ上げるだけの伸びしろもある。内村と並んで戦っていける新たなオールラウンダーが日本に誕生した。

 個人総合はリオ五輪の内村、ベルニャエフのように、0・1点以内の勝負になる。今回は中国、ロシアなどライバル国の選手の勢いもあり、金の肖、銀の林は白井同様にミスのない強さがあった。最後は鉄棒の着地がメダルの色を左右した。(04年アテネ五輪団体金メダリスト、日刊スポーツ評論家)