20日、F1第17戦USGPのフリー走行でマクラーレン・ホンダはストフェル・バンドールンに「スペック3・8」の改良型パワーユニットを投入した。

 第13戦イタリアGPで投入したパワーユニットを使用していたバンドールン車には、元々このUSGPで新品を投入することを予定していた。そのタイミングに合わせて、改良を施したICEを完成させ投入したかたち。ICE本体に改良が加えられており、決して小さくない出力の向上が果たされているという。

 路面が湿ったフリー走行1回目では、バンドールンが新型フロントウイングを試しトップから1・017秒差の5番手タイムを記録。しかし新型フロントウイングをフェルナンド・アロンソに譲ったFP-2ではセットアップの方向性を見失いトップから2・795秒差の15位に終わった。

 「FP-1は(路面が濡れていて)トリッキーなコンディションだったうえに新しい空力を試したり忙しいセッションだったけど、このサーキットでの初走行にしては良い走りができたと思う。だけどFP-2ではマシンバランスに少し苦しんで100%満足できる状況ではなかった。ロングランのペースは悪くなさそうだけど、一発のタイムに関してはまだまだ改善できるし上位との差を縮められるはずだ」(バンドールン)

 一方フェルナンド・アロンソ車にはハイドロ系の作動液漏れが発生し、FP-1の走行はわずか4周のみ。修復して臨んだFP-2ではトップから1・636秒差で7番手に付けた。

 「たくさんテスト項目があっただけにFP-1の走行時間を失ったのは痛かった。FP-2で取り戻そうとしたけど取り戻しきれず、来週のメキシコでも作業を継続することになりそうだ。マシンからはまだコンマ数秒は引き出せるはずだ」(アロンソ)

 ホンダの長谷川祐介F1総責任者は、バンドールン車に投入したアップデートについて次のように説明した。

 「ストフェルは走行距離の管理上、安全を考えるとここで交換せざるを得ない状況だったので、ICEだけスペック3・8というマイナーアップデートを投入しました。ここは好結果が狙えそうなサーキットなので、グリッド降格ペナルティーを最小限に抑えるためにICEだけにして5グリッド降格に抑えました。ICEの燃焼効率を上げて出力を向上させています。3・8という数字からも分かるようにそれほど大きく上がっているわけではありませんが、今日の走行データ上でもその取り分は確認できています。今日はまだデータのセッティング作業をしていますから、明日にはしっかりとパワーが出せると思います」

(米家蜂起通信員)