フィギュアスケート男子の羽生結弦(22=ANA)が9日、まさかのアクシデントで右足首付近を負傷した。グランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯を翌日に控えた公式練習で、習得したばかりの4回転ルッツで転倒し、痛めた。練習を途中で切り上げて直後の会見は欠席。今日10日のショートプログラム(SP)出場は不透明となった。けがの状態次第では、66年ぶりの五輪連覇を狙う平昌(ピョンチャン)に向けた調整プランの修正を余儀なくされる。

 NHK杯3連覇、その先のGPファイナル5連覇を狙う羽生に異変が起こった。40分間の練習の中盤、午後4時12分だった。10月のロシア杯で初めて成功した大技の4回転ルッツを跳んだ羽生は、右足での着氷に失敗。膝が内側に折れ曲がる不自然な体勢で転倒し、うずくまった。険しい表情で、右足をひきずりながらゆっくり滑り、練習を切り上げた。約3分後、氷上に戻りフリー「SEIMEI」の曲をかけ練習を行ったが、ジャンプを跳ばなかった。時折動きを止め、右足首付近に手をやり気にするしぐさも見せた。練習後すぐに治療に向かうため会場を去った。

 午後7時から予定された公式会見は治療のため欠席。会見の冒頭に日本連盟から「(羽生の)けがの内容、明日以降の競技については、医師からの連絡が入っていないため発表できない」と報告があった。今日10日のショートプログラム(SP)に出場するかは、不透明な状況だ。

 けがの詳細は明らかにされていないが、羽生の練習を見ていた元選手の関係者は「ジャンプの時に膝を内側に入れる着地が、一番危ない。羽生選手は股関節が柔らかいので膝への負担はとどめたが、足首を痛めたのでは」と推察した。加えて「直後のスケーティングで右足に体重が乗っていなかった。SPは出来ても、フリーは難しいのではないか」と影響を指摘した。強行出場したとしても、本来の力を出す演技は望めないとみられる。

 症状が深刻だった場合、今大会の欠場によって5連覇のかかるGPファイナル出場を逃すだけでなく、連覇がかかる平昌五輪にも影響が及ぶ可能性がある。今は、軽症であることを祈るしかない。【高場泉穂】