秋田ノーザンハピネッツが岩手ビッグブルズを66-60で破り連勝した。通算14勝目でわずか1敗。他の追随を許さず、東地区首位をひた走っている。11日にファウルの判定に抗議し退場となったジョゼップ・クラロス・カナルス・ヘッドコーチ(48=ペップHC)が出場停止。指揮官不在の中、終始劣勢の展開だったが、第4クオーター(Q)終盤に逆転するミラクル劇で、粘る相手を突き放した。

 最大10点差まで広げられた。敗色濃厚な雰囲気で迎えた第4Qで、秋田は驚異の粘りを見せる。56-57と1点差まで追い上げた残り4分、ナイジェル・スパイクス(28)の逆転ゴールが決まると、アウェーに駆けつけた秋田ブースターは、たまっていたフラストレーションを歓喜のガッツポーズで一気にはき出した。残り30秒でトアーリン・フィッツパトリック(28)がダンクを突き刺し、5点差にまで広げて勝利を決定づけた。

 第4Qだけで26得点を挙げた。チーム最多の20得点をマークしたフィッツパトリックは第4Qだけで8得点を決め「自分のパフォーマンスはひどかったけど、みんながハッスルしていた。ぼくだけじゃない。ナイジェル、田口主将(成浩=27)も勝ちたいという気持ちを出していた」と、田口主将、スパイクスと3人で計21得点をたたきだして、劇的勝利を呼び込んだ。

 ペップHC不在の中、序盤からリズムをつくれずにいた。試合前、ホテルで行ったミーティングでゲームプランを落とし込まれていたが、第3Qまで52・9%のシュート成功率を残した岩手に対し、秋田は36・4%とダンクシュートやフリーのレイアップをノーゴールとするなど、オフェンスでのミスが目立った。

 代行で指揮を執った前田顕蔵アシスタントコーチ(35)は「第4Qで守備から攻撃を組み立てられた。崩れてしまった時間帯が多かったが、苦しい試合を勝ち切れたのはよかった」。劣勢を最後に覆す力が、今の秋田には宿っている。最重要課題の「1年でB1復帰」へ、再び連勝街道を突き進む。【下田雄一】