レスリングの全日本選手権第3日は22日、東京・駒沢体育館で行われ、リオデジャネイロ五輪女子48キロ級金メダルの登坂絵莉(24=東新住建)が50キロ級の初戦の準々決勝に勝利した後、左足を故障している影響で棄権した。10月に左膝などを損傷して全治約3カ月の診断を受けていた。男子フリースタイル79キロ級は高谷惣亮(ALSOK)が74キロ級を含めて7連覇。同五輪57キロ級銀メダリストの樋口黎(日体大)は65キロ級の2回戦で敗退した。

 まさかの棄権だった。準々決勝で世界ジュニア女王の加賀田に片足タックルを決められるなど7-4で辛勝。試合後の取材対応では「やっぱり難しい。攻めることは出来たけど、ディフェンスに課題がある。くそー!」と怒りをあらわにした。今日23日の準決勝も「選手である以上は出たい」と意欲を示したが、取材途中に至学館大で指導を受ける栄監督からけがの再発を心配され「棄権しよう」とうながされた。その瞬間、登坂は号泣して「はい」と返答した。

 10月の代表合宿で左膝と左足首の靱帯(じんたい)を損傷して全治約3カ月の診断を受けた。今大会は「試合勘を失うのが怖かった」と21日夜まで悩んで出場を決めた。来年10月の世界選手権(ブダペスト)出場のためには、6月の全日本選抜選手権の優勝が絶対条件。同級には48キロ級の17年世界女王の須崎もいるが「完治させて、代表権を争いたい」と気持ちを奮い立たせた。