平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)アイスホッケー代表「スマイルジャパン」DFの床亜矢可(23=ANA)が、母栄子さん(50)の悲願を思わぬ形でかなえた。

 12日、都内で床の所属先ANAの壮行会が行われ、栄子さんがあいさつでANAとの浅からぬ関係を明かした。「実は、昔スチュワーデスになることが夢で全日空を受験しましたが、落ちました」と話すと、会場はどっと笑いに包まれた。当時、主要航空会社の受験日が重なっていたため、栄子さんは第1希望のANAに絞って勝負。筆記試験は通ったが、面接で落ちたという。そこで航空業界志望から一転、西武鉄道に入社。そこでアイスホッケー選手だった夫泰則さん(56)と出会い、やがて子もアイスホッケー選手となった。「夫はアイスホッケー選手ですが、五輪に行けませんでした。2つの夢を同時にかなえた亜矢可を誇りに思います」と親孝行の娘をたたえた。

 床は昨春入社し、人事部に所属する。志望のきっかけも、幼い頃から母に何度も「私は、スチュワーデスになりたかった」と聞かされたのが大きかったという。この日は、いつも温かく応援してくれる同僚の前で「この環境でアイスホッケーができるのはありがたい」と感極まって涙した。

 前回ソチ五輪も出場したが1勝もあげられずに予選敗退。今回は初出場の妹秦留可(20)とともにメダルを狙う。「前回は五輪出場が決まってからメダルを目標に掲げましたが、今回はメダルを取りたいと思って4年間準備してきた。個人としても、チームとしても4年前より格段に成長できた。その違いを本番で発揮できたら」と意気込みを語った。