平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)代表の高梨沙羅(21=クラレ)が今季自己最高の2位に入り、逆襲ののろしを上げた。1回目は90メートルで3位につけ、2回目に93メートルを飛び、合計231・4点で今季初めて個人総合1位ルンビ(ノルウェー)同2位アルトハウス(ドイツ)の2強の一角を崩した。自己ワーストの7戦連続優勝なしに終わったが、2回目の飛型点は今季最高の55・5点。地元札幌から上昇気流に乗ってきた。

 2強の間を今季、初めてこじ開けた。高梨は自己最高の2位。自身ワーストとなる7戦連続で優勝なし。待望のW杯(ワールドカップ)歴代単独最多の54勝目はまたしてもならなかったが、開幕から5戦連続で1、2位を分け合ってきた2強の一角アルトハウス(ドイツ)を崩し、じわり、じわりと上がってきた。「テークオフ(飛び出し)からマキシマム(最高到達点)までの間の完成度が早くなっている。スキーが開き気味だがそれも着実になくなってきている。これを続けることでテークオフの厚みも増していくはず」と上昇度を口にした。

 不利な追い風の条件だった1回目は90メートルを飛んだが、足を前後に開いて着地するテレマークが入らず、飛型点が抑えられ3位。2回目で勝負に出た。攻めのジャンプで着地ぎりぎりまで粘り、気合でテレマークを入れ、順位を1つ上げた。

 今季、ここまで飛型点は54点が最高だったが、2回目は恐怖心に打ち勝ち「頭から突っ込むイメージ」を描き、攻めの姿勢で最高の55・5点をたたき出した。3位のアルトハウスとの得点差は1・2点。積み上げた1・5点こそ成長の証しだった。「最後倒れ込むような感じでテレマーク入れたら入った。55・5点はなかなかないので2回目は自信になった」と満足げ。全日本スキー連盟の斉藤智治ジャンプ部長も「2回目のジャンプが良かった」と高評価した。

 この日、契約する「オークリー」から提供されたオレンジとイエローを基調とした五輪で使用するゴーグルを着用した。スーツは、好む黒でなく茶色のものを試した。五輪まで技術だけでなく道具にもこだわる。今週末からは山形・蔵王で2連戦がある。「そこに向けてトレーニングしたい」。上昇気流に乗ってきた高梨が、本領発揮する舞台が整いつつある。【松末守司】