フィギュアスケート世界選手権の公式練習が20日、本番会場で行われ、きょう21日の女子ショートプログラム(SP)に向けて、樋口新葉(17=東京・日本橋女学館)が調整を行った。シーズン序盤は平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)金のザギトワ(ロシア)と接戦を演じたが、あと1歩で五輪代表から落選。その悔しさを2度目の大舞台にぶつける。

 五輪落選の悔しさを胸に、樋口が最高の舞台に帰ってきた。「自信のつく練習ができました」。練習を終えたその表情は晴れやかだった。前日ミラノに到着したばかりで、まだ時差ぼけは残る。それでも日本での練習と同じようにジャンプが軽々と跳べた。初出場の緊張で11位に終わった1年前とは違い、心も落ち着いている。「悔しさをぶつけられるようにしたい」と静かに力をこめた。

 今季は好成績で五輪選考の有利な位置にいながら、昨年12月の全日本選手権SP後に右足首の靱帯(じんたい)を痛める不運に見舞われた。フリーは痛み止めを飲んで出場。4位に終わり、代表から漏れた。2週間休んだ後、やる気を取り戻したのは五輪と同時期にあったチャレンジ杯だった。「自分も五輪に出ている人と同じように演技ができるように」と、再び練習を積み、衣装やジャンプ構成を変更。ほぼ完璧な演技で、大舞台への弾みにした。

 今季初戦のロンバルディア杯では五輪女王のザギトワに0・83点差。今シーズン最もザギトワに近づいたのは樋口だ。「ミスのない練習をここまでしてきた。自信をもって滑れるようにしたい」。取り戻した強さで女王の背を追う。【高場泉穂】