明日30日開幕の第19回全国選抜高校ラグビー大会(埼玉・熊谷ラグビー場)に、仙台工(宮城)が「実行委員会推薦枠」で初出場する。

 双子の佐藤兄弟が「分身の術」で相手を切り裂く。フランカーの兄理樹(よしき)は「コンタクトの多いポジション。体の大きい選手にも立ち向かう姿をみてほしい」。CTBの弟真仁(まひと)も「SO経験もあるので、判断力や走り込む角度には自信がある。理樹もFWから攻撃的にやってくれる。たまに進路が重なっちゃうんです。双子なので考えが同じなのかもしれません。どっちがどっちなのか分からないように相手を惑わせたい」と笑った。

 中学までは理樹がバドミントン、真仁はテニス。「一緒に同じスポーツをやりたいね」と進学後、勧誘を受けてラグビー部の門をたたいた。まずは体づくりのために食トレから始まった。祖母睦子さん(75)にお願いしてサラダや鶏のささみを大量に食卓に。自分たちはどんぶり2杯の白米をよそった。大好物の焼き肉もほおばった。一時、理樹は57キロから80キロに、真仁は53キロから70キロまで成長した。

 ラグビーを離れても気持ちは一緒。昨年12月に別々で購入したスニーカーは、メーカーも色も偶然かぶった。新調予定だったスパイクも欲しいものは同じ。帰宅後や休日に、仙台市内の長町中央公園の芝生で2人で“秘密特訓”し、ラグビーの術を習得してきた。理樹は「中学までは個人種目でしたが、双子の息のあう姿がラグビーでは生きる」。あうんの呼吸でトライを狙う。