世界ランキング11位の日本が、同14位のイタリアに34-17で勝利した。3点リードで折り返した後半にFB松島、WTBレメキのトライなどで突き放した。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)体制となり、世界のトップ10に位置付けられる「ティア1」チームからの勝利は初めて。ベスト8入りを目標に掲げる19年ワールドカップ日本大会に向け、進化を証明した。16日には、ノエビアスタジアム神戸でイタリアとの第2戦に臨む。

 真価が問われる一戦で、桜の戦士がピッチの上で躍動した。昨秋から取り入れた、相手の攻撃を前に出て止める防御で流れをつかむと、20-17の後半21分にビッグプレーが飛び出した。敵陣深くに攻め込み、左中間でボールを受けたSO田村が右サイドのフッカー堀江にキックパス。堀江がバレーボールのトスのように、内側にいたレメキに直接つなぎ、勝利を引き寄せるトライを奪い取った。

 この日の登録選手23人のうち、20人がスーパーラグビー(SR)の日本チーム、サンウルブズで今季プレー。2月からジョセフHCの指揮のもと寝食をともにしながら代表の戦術を共有してきたことが、形となって表れた。堀江は「あうんの呼吸。(田村)優が目が合った瞬間に蹴ってくれた。サンウルブズで一緒にいたからこそのプレー」と胸を張った。その後は過去1勝5敗の欧州の強豪を攻守に圧倒。チームとしての確かな成長を印象づけた。

 5月末の代表合宿初日から、W杯を明確に意識したチーム作りが始まった。主将リーチが、0勝に終わった11年W杯で、テストマッチ4連勝中だったトンガに完敗した経験を話し、大舞台で勝つ難しさを伝えた。チーム最年長のSH田中は「テストマッチはSRとは違うし、W杯はテストマッチとも違う。負けた11年、勝った15年、両方の経験が19年につながる。ここからは国を背負って戦う意識が重要」と思いを語った。

 宿舎のチームルームには故平尾誠二氏ら名選手の写真、日本代表キャップを持つ全選手の名前が記されたバナーが新たに掲げられ、代表としての覚悟、戦う意識を共有。チームカラーである赤の特注の甲冑(かっちゅう)、日本刀も、遠征や試合に帯同する。スローガンは「ONE TEAM」。攻守に存在感を示したFB松島は「合宿で1つのチームになれたことが大きかった」と充実の表情で勝利を振り返った。

 次戦は16日に再び、イタリアと激突する。「来週は相手も必死になってくるし、さらに大事になる。しっかりとした準備をしたい」とリーチ。目標のW杯8強へ向け、緩むことなく勢いを加速させていく。【奥山将志】