崖っぷちだったバスケットボール男子日本代表が、W杯アジア2次予選進出を決めた。世界ランキング48位の日本は、同55位の台湾に100点ゲームで勝利した。6月29日に同10位のオーストラリアに大金星を挙げた勢いそのままに2連勝し、2勝4敗でB組3位に浮上。東京五輪の予選も兼ねるW杯出場に向けて望みをつないだ。

 第1クオーター(Q)、4月に日本国籍を取得したファジーカス・ニック(33=川崎ブレイブサンダース)が先発し、11得点とけん引する。チームの2点シュート成功率も71%と、ファジーカスらがディフェンスリバウンドを取って作った攻撃のチャンスを確実に決め、27-15と大きくリードする。第2Q、馬場雄大(22=アルバルク東京)が右手で片手ダンクシュートを決めるなど点数をさらに積み重ね、47-28で前半を終えた。

 第3Qもその点差を維持し77-57。第4Q、米ゴンザガ大でプレーする八村塁(20)が相手ディフェンスをかわしながらのシュートを決めるなど躍動した。この試合で、ファジーカスが32点、比江島慎(27=シーホース三河)が17点、馬場、八村が13点、富樫勇樹(24=千葉ジェッツ)が12点と、2桁得点を5人が達成した。

 同予選は開幕から第4戦まで4戦全敗のB組4位。1次予選での敗退も危ぶまれ、まさに崖っぷちの日本を救ったのは新加入の2人だった。210センチのファジーカスが日本国籍を取得、203センチの八村がNCAAのシーズンを終えて帰国し、同予選の第5戦のオーストラリア戦、第6戦の台湾戦から合流。弱点だったインサイドも強くなった。

 6月のホーム戦でオーストラリアを撃破し、この試合でも最大43点の大差を付けての勝利を収める要因となった。台湾には、2月のホーム戦では1点差で敗れている。当時、富樫と馬場がけがで離脱していたことを考慮しても、2人の加入は日本をまったく違うチームに変えた。この試合でのリバウンド数も、日本44本、台湾33本と、リバウンドで勝てるインサイドでの高さを手に入れたことで攻撃の安定感、守備の信頼感につながった。

 今大会は、東京五輪の予選を兼ねるW杯のアジア1次予選。国際バスケットボール連盟(FIBA)は、五輪の開催国枠を無条件では与えておらず、日本も東京五輪での開催国枠は保証されていない。過去のロンドン五輪時には英国は代表の強化を、リオデジャネイロ五輪時はブラジルは国内連盟の財政面を課題とされ、いずれもクリアして開催国枠を手にしている。14年にFIBAから資格停止処分を課された日本は、これまでリーグの統一、協会のガバナンス面での改善に務めてきた。代表の強化をFIBAに認められれば開催国枠が与えられる。W杯に出場して16強程度の成績を残せば確実とみられ、この勝利は東京五輪に出場するためにも大きな意味を持つ。開催国枠を適用するかどうかについては、19年夏のFIBA中央理事会で最終判断が下される。