平昌(ピョンチャン)冬季パラリンピックのスノーボード男子バンクドスラローム下肢障害金メダルの成田緑夢(24=近畿医療専門学校)が29日、20年東京オリンピック(五輪)を見据えてカヌーに挑戦した。

 岩手県奥州市で行われたジャパンカップにオープン参加した。スラロームの国内トップレベルの選手が集まる大会で、高低差のある約260メートルの急流の難コースに挑戦。旗門不通過などのミスはあったが、練習は15日程度という初心者ながら予選2レースをこぎきった。「想像以上の急流で驚いた」と、言いながらも満面の笑みだった。オープン参加のため順位はつかなかった。

 平昌大会後、パラリンピックと同時に五輪を本格的に目指すために冬季競技から引退を表明した。陸上などの競技を模索する中「障害が不利にならない競技」としてカヌーが有力候補の1つに挙がった。カヌーは東京パラリンピックの実施競技の1つでもあり、五輪とパラの両大会での参加を視野に入れている。今回の出場は体験のためで、今後も東京五輪に挑戦するための競技を模索する。「2年で五輪、パラに出場するのは難易度が高いがやってみたい。目の前の1歩に全力を尽くす」と言葉に力を込めた。

 大会運営によると、エントリー選手36人中、オープン参加は成田1人のみ。完走したのは成田含め34人だった。大会運営関係者は「国内最難関コースの1つを完走すること自体が驚異的。成田選手の身体能力のすごさが分かった。さすが、金メダリスト。カヌーで20年東京五輪を目指してほしい」と話した。

 ◆成田緑夢(なりた・ぐりむ)1994年(平6)2月1日、大阪市生まれ。13年フリースタイルスキー世界ジュニア選手権男子ハーフパイプで優勝。13年4月、練習中の事故で左足に障害を負い、夏冬二刀流のパラアスリートになる。18年平昌パラリンピックのスノーボード・バンクドスラローム金、同クロス銅。同年3月に冬季競技から引退を表明。兄童夢と姉今井メロは06年トリノ五輪スノーボード代表。173センチ、63キロ。