日本大学アメリカンフットボール部の悪質な反則問題について、日大アメフト部第三者委員会が30日、都内で最終報告記者会見を開いた。委員長の勝丸充啓弁護士は会見で、辞任した内田正人前監督の独裁体制だったと断じた。

 勝丸弁護士は冒頭で「内田氏の独裁体制であり、チェックできる体制にもなかった。部長はほとんど名前だけの存在。部のトップは保健体育審議会。ただ位置付けも不明瞭で形骸化していた」と指摘した。

 その上で「体育学部の長と部の長が内田前監督で、加えて内田氏は人事担当常務理事、人事部長を兼職しており、チェック機能が働かないのは一目瞭然。ものを言えるのは事実上、理事長しかいない。ガバナンスが働かない状態で内田氏任せになり、大学の対応は後手、後手に回った」と日大の体制を厳しく批判した。

 日大アメフト部第三者委員会は、5月31日から7月30日まで、日大アメフト部員、教職員を中心に関係者のべ約100人からヒアリングをした。部員約150人全員にアンケートを実施し、メールチェックやビデオ検証による調査を行った。さらに関東学生連盟1部リーグ所属チーム監督のうち、16人への意見照会も行った。

 6月29日に開いた中間報告会見では、5月31日から70人の聴取を行った上で、反則問題の事実確認を公表し関東学連の調査同様、宮川泰介選手が行った反則行為が、内田前監督と井上奨前コーチの指示によるものだったと認定。他の選手にも似たような反則の指示が繰り返されたとし「指導者としての資質を著しく欠き、責任転嫁の姿勢は極めて悪質」と指摘した。

 中間報告の段階で、部員のアンケートには150人中120人が回答したが、指導者の言い分を支持した部員は1人もおらず、113人が「2人に意見を言えなかった」、3分の2が「指示に従っていたと思う」とも回答。第三者委は2人の指導者は否定したものの、絶対君主のような存在が背景にあったとした。

 また、日大の事情聴取前に日大関係者が反則を行った宮川選手に責任を押しつけるよう不当介入し、2度にわたって学生に口封じでもみ消しを図ろうとしたと、連盟よりも踏み込んだ事実を示した。そして同関係者について「一切関わってはいけない。影響力のある地位にいるべきではない」とまで斬り捨てた。

 この日の最終報告記者会見には、勝丸弁護士のほか委員長代理の辰野守彦弁護士、委員の磯貝健太郎弁護士が出席した。【村上幸将】