<バドミントン:世界選手権>◇5日◇中国・南京◇男子シングルス決勝

 男子シングルスで3年ぶりに出場した世界ランク7位の桃田賢斗(23=NTT東日本)が、同3位の石宇奇(中国)を2-0で下し、日本男子としてオリンピック(五輪)、世界選手権を通じて初の金メダルを獲得した。

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 試合後、桃田はラケットにキスをし、そのまま携えて表彰台に上がった。その行為には病気で欠場した五輪3大会連続銀メダルのレジェンド、リー・チョンウェイ(マレーシア)への思いがこもっていた。「これは僕とチョンウェイ選手しか使えないモデルのラケット。一緒に、と思って(表彰台に)持っていきました」と明かした。恩がある。自身もドーピング問題から8カ月の出場停止を経験したチョンウェイは、16年9月に処分中の桃田へメッセージを送っていた。「人は100%正しい道を歩めるわけではない。間違いを犯したのであれば、それに気付き、自分を変化させればいい。新たに強い人間になり、帰ってくれればいい」。この言葉が書かれた記事を読み、桃田は励みにしていた。4月のアジア選手権では初めて勝利したが、尊敬の念は変わらない。【高場泉穂】