勝負のボルダリングが幕を開けた。今季ワールドカップボルダリング年間女王の野中生萌(21)が、右肩の痛みをこらえながら3完登(かんとう)し予選をB組2位で突破した。野口啓代(29=ともにTEAM au)は4完登でA組1位、スロベニアの強豪ヤンヤ・ガルンブレト(19)も唯一の5完登B組1位で14日の準決勝に駒を進めた。小武芽生(21=エスエスケイフーズ)はA組13位で予選敗退となった。

悔しさで涙がこぼれ落ちた。4課題目、到達すると成績に加点される「ゾーン」と呼ばれるホールド(突起物)をつかめずに、野中が「あー!!」と叫んだ。最終5課題目。「ここを登れば予選を通過できる」と確信し慎重に登りを進め、1トライ目で完登。3完登、4課題でゾーンに到達した。

今大会のリード予選1本目を登っている途中だった。「力を入れた瞬間にポキポキと音がした」。右腕は痛みで全く上がらない。宿舎に帰りはりや電気での治療に努めたものの、「肩を回すと痛い。30~40%くらい」と万全とはほど遠い。「あきらめたくない」と肩に負担がかからないように攻略。力強さは戻っていないが、予選B組2位で準決勝進出を決めた。前回の16年大会、ボルダリングで銀メダルを獲得した。「いまはやれることを頑張りたい。もちろん決勝、表彰台を狙う」と得意種目で意地も見せる。【戸田月菜】