ノルディックスキー・ジャンプ女子で平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)銅メダルの高梨沙羅(21=クラレ)が17日、夏のグランプリ(GP)最終戦出場のため、羽田空港を出発した。

穏やかな表情を浮かべていても、心には期するものがある。故郷の北海道は、6日未明に起きた北海道胆振東部地震で大きな被害を受けた。11日に欧州遠征から帰国すると被災地に対し、「何かしたい」と話したが、特に被害の大きかった厚真町などのHPで必要なものを自ら調べ、今夏のGPの賞金と水を赤十字社を通して被災地に送った。「一刻も早い復興を願っている。少しでも役に立てればと思っています。私はファンの人の応援に支えられて今がある。その恩返しができれば」と願った。

約1週間の日本滞在。少ない時間の中で故郷に支援物資を届けた他、所属先クラレの訪問、さらに、イベントに参加し、毎年、ランドセルを届けている大阪の保育園にも訪れ、関係者やファンに感謝を届けて回った。

すでにGP個人総合7連覇を決め、今遠征は、10月3日のクリンゲンタール大会(ドイツ)の1戦のみだが、大会までの約2週間はスロベニアで合宿し、最終調整を行う。「最後まで全力で飛ぶ。まだ余震が続いていて安心できないと思う。でも、今を耐えて一生懸命、頑張ってほしい。未来に希望を持てるような結果を持って帰ってきたい」。心はいつも故郷とともにある。強い思いを胸に欧州に旅立った。