世界から注目されるスケートボード少年が、静岡にいる。菊池泰世(静岡北中1年)。今年8月、シンガポールで行われた「Vanz Park Series 2018」で準優勝。フェイスブックの動画再生回数は、100万回を超えた。2020年東京オリンピック(五輪)から正式種目となるスケボー界に登場した逸材は、夢に向かって成長を続けている。

インスタグラムのフォロワーは6万人超、フェイスブックでは動画再生回数が100万回を超えた。128センチ、23キロ。小柄な体を生かした菊池の技が、海を越えて話題になっている。SNSを通じ、「HUF」などの海外ブランドも菊池に注目。既に複数の企業とスポンサー契約を結び、洋服やプロテクターなどの提供も受けている。

「世界でみんなを楽しませるプロスケーターになりたいです」。屈託なく話す菊池は、小3でスケボーを始めた。ソチ五輪スノーボード男子ハーフパイプで銀メダルを獲得した平野歩夢(19=木下グループ)に目を奪われた。「すごく格好良かったです」。雪の少ない静岡では、平野に近づけるのがスケボーだった。その前に始めた空手、サッカーは長続きしなかったが、スケボーは違った。「技が決まった時に、会場全体が盛り上がるのが好きです」。初出場した大会は30位以下。抱いた悔しさも夢中になったきっかけだった。

静岡市内のF20パークに通い、パークスタイルを専門に技術を磨いた。同パークの小田巻茂代表(70)が「『もう、やめろ』というまで続ける子。肉離れでドクターストップがかかったこともあった」と舌を巻く努力も重ね、才能を開花させた。

8月中旬、シンガポールで開催された「Vanz Park Series 2018」で準優勝。日本人プロらも退けた。9月16日に新潟で行われた「JSF Park Style Contest妙高」でも、東京五輪候補3選手に続いて4位に入った。

東京五輪は年齢制限で出場できないが、菊池には明確な目標がある。「五輪で金、Xゲームで優勝、Vanzのツアーで年間王者になりたいです」。静岡から世界へ。菊池には輝く未来が待っている。【前田和哉】

◆菊池泰世(きくち・たいせい)2006年(平18)1月10日、静岡市生まれ。賎機南小から静岡北中。小3からスケートボードを始め、専門は、湾曲した滑走面を複雑に組み合わせたコースでスピードや技の難易度を競うパーク。家族は両親と妹2人。血液型A。