女子では、19大会ぶりの覇権奪回に挑む古川学園(宮城)が2-1の逆転勝利で市船橋(千葉)を下し、初戦を突破した。第1セットを落とすも、第2、第3セットをともに終盤の粘りで奪取。最後はU-19日本代表の鴫原(しぎはら)ひなた主将(3年)にトスを集め、昨秋の国体で敗れた宿敵に雪辱した。

頼れるキャプテンが決めた。古川学園は24-23で迎えた第3セット。鴫原主将がネット際のボールに飛び込み、マッチポイントを相手コートに押し込んだ。最終セットも終盤まで同点機が連続する展開で、22-23からの逆転勝利。鴫原主将は「V打」を含む20点目からの得点すべてを1人で決め、「みんなが喜んでいるのを見て、勝ったのが分かりました。リベンジしたかったので」と、仲間と抱き合って歓喜に浸った。

雪辱戦に勝った。市船橋とは昨年10月の福井国体でともに単独チームで対戦し、1-2で惜敗した。規定でキューバ人留学生のバルデス・メリーナ(1年)は出場できず、身長183センチの高さを欠いてリズムが狂った。この日はバルデスがコートに戻り、スパイク、ブロックで要所の得点を決めた。吹奏楽部を投入し、得点のたびにコンバットマーチが鳴り響く相手応援にもペースを乱されず、岡崎典生監督(50)は「エンジンの掛かりが遅いけど、それまで辛抱して、自分たちのペースに持っていけた」と選手の踏ん張りをたたえた。

98、99年度の連覇など過去3度の優勝を誇る名門。今大会は鴫原主将と同じU-19代表で吉田あゆみ(3年)も擁し、上位候補の一角に挙がる。鴫原主将は卒業後、Vリーグのトヨタ車体(愛知県刈谷市)に進み、心技体とも磨いてフル代表入りを狙う。初戦を振り返り、「いつもならリードされると焦ってしまうけど、今日は何点リードされても落ち着いて、勝てる自信がありました」と劣勢でも笑顔を失わず、仲間を鼓舞。「フルセットでこういう戦いができたのは大きい」と弾みをつけた。【中島正好】