女子テニスの国別対抗戦フェド杯ワールドグループ2部1回戦、日本-スペインが北九州市で9日から行われる。日本はシングルスのNO・1に世界121位の土居美咲(27=ミキハウス)、NO・2に同123位の日比野菜緒(24=ブラス)を起用した。世界1位の大坂なおみ(21)は個人戦を優先し、今回の代表には選ばれてない。

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16年1月の全豪で、大坂なおみ(21=日清食品)は予選3試合を勝ち抜き、初めて4大大会本戦にデビュー。本戦でも3回戦に進んだ。日本女子を引っ張ってきた土居美咲(27=ミキハウス)、日比野菜緒(24=ブラス)、奈良くるみ(27=安藤証券)の3人も本戦に名を連ね、計4人が本戦で戦った。

それ以降、大坂は彗星(すいせい)のごとくトップへの道を歩んでいく。わずか2年後の全米で優勝し、2年半後には全豪を制し、世界1位にまで上り詰めた。しかし、大坂自身はその成長を「外から見たら早いかもしれないけど、私は多くの努力をしてきたから、逆に遅いぐらいに感じる」と話す。

その間に土居、日比野、奈良は逆にトップ100から落ち、苦戦が続いていた。3人や他の日本女子にとって、突然現れた大坂はどのような存在なのか。ある選手は「正直言って、あまりにも違いすぎて、日本女子として比較にならない」と、比べることさえ論外だという。

しかし、18年フェド杯ワールドグループ2部入れ替え戦で、同じ日本代表として戦った奈良は違った感想を持つ。「ちょっとレベルは違うけれど、そういう存在が身近にいるというのは、絶対に刺激になっている」。また「日本人としての強みは、努力というか、積み重ねること。その取り組む姿勢というのは、私たちに近い」と、大坂の中に日本女子の良さを見つける。

大坂は以前、仲のいい日本女子はいるかという質問に「くるみちゃん」と答えていた。奈良も大坂のことを「なおみん」と呼ぶ。両者が並べば、身長は24・5センチも違うため、まるで大人と子ども。奈良も「フィジカルは確かに違う」と認めざるを得ないが、同じ国の選手として戦っている感情は共有しているようだ。

9日に開幕する国別対抗戦フェド杯ワールドグループ2部日本-スペインで土居、日比野がシングルスで起用される。大坂は個人戦を優先し、代表には加わっていない。ただ、今代表は大坂を除いた日本女子のベストメンバーといえるだろう。土橋登志久日本代表監督は「大坂がいなくても、団体戦はチームワーク。監督4年目だが、これほどいい調整で入れたのは初めて」と自信を見せる。

日本男子は、16年を最後に絶対的なエース錦織圭(29)は、ケガもあってデビス杯の代表戦を欠場している。しかし、他の日本男子の奮闘で、ワールドグループ残留を維持し続ける。それは、錦織から受けた刺激でもあり、日本男子は錦織だけではないという意地でもあったはずだ。

それと同様に、大坂がいない今対戦でスペインを倒し、日本女子は大坂だけじゃないという意地を見せてほしい。そして、それが間違いなく個人のステップアップにもつながるはずだ。(おわり)