女子テニスで、アジア勢史上初の世界1位となった大坂なおみ(21=日清食品)が12日、短文投稿サイト、ツイッターでサーシャ・バイン氏(34)とのコーチ関係を解消したことを明らかにした。その2日後の14日、同サイトを更新。17日開幕の次戦、ドバイ選手権の行われるUAEのドバイからチームの写真を投稿した。

大坂が真ん中に座り、その後ろには吉川真司日本テニス協会女子代表コーチ、クリスティナ・スター理学療法士、アブドゥル・シラー・フィジカル担当が写っている。ドバイでは吉川女子代表コーチがバイン氏の代わりを務めるようだ。当初、同コーチの派遣予定はなく、12日の時点では大坂サイドからも、まだ依頼はなかった。しかし、その後、緊急登板となったようだ。

ドバイ選手権は吉川コーチの登板で乗りきったとしても、最初の関門は、その次の3月6日開幕のBNPパリバオープン(米インディアンウエルズ)だ。大坂は、同大会で昨年ツアー初優勝。世界ランキングのポイント、1000点を稼いだ。その点が今年の大会が終了した直後に失効する。もし今年初戦で敗れるようなことになれば、その1000点がほぼ丸々消えてなくなってしまう。

その次が同月19日開幕のマイアミオープン(米フロリダ)。BNPパリバ・オープンとのこの2戦は、4大大会に次ぐレベルの大規模な大会で、大坂の得意なハードコート。世界1位を維持するために、上位進出は欠かせない。

そして4月以降は、5月26日開幕の4大大会、全仏オープン(パリ)に向けてクレー(土)コートのシーズンとなる。大坂の苦手なコートだけに、クレーを克服するにはそれ相応のコーチが必要となるだろう。

次のコーチに関しては、数人の候補が挙がっており、打診中だという。現在空いている大物コーチは数人いる。大坂に抜かれるまで世界1位だったシモナ・ハレプ(ルーマニア)を昨年まで3年間指導していたダレン・ケーヒル(オーストラリア)。しかしハレプとの関係を解消したのが「子どもと少しでも長くいること」が理由のため、難しいかもしれない。

大坂が小さい頃に拠点としていたクラブのハロルド・ソロモン(米国)もその1人かもしれない。ソロモンは76年全仏準優勝で、クレーでの戦いを熟知した選手だった。しかし、現在、66歳の年齢はネックになるだろう。

10年にエレナ・ヤンコビッチ(セルビア)を2位に躍進させたチップ・ブルックス(米国)もいる。IMGアカデミーでテニス・ディレクターとして、元女王のセレシュ(米国)やシャラポワ(ロシア)を指導した経験もあり、IMGとの関係は悪くない。

大穴は、男子ではやったレジェンド・コーチだ。米国にはマルチナ・ナブラチロワ、クリス・エバートの世界的な元女王トップ2がいる。2人合わせて4大大会36勝。特にエバートは、自身が名前を冠するアカデミーをフロリダで運営しており、そこで大坂は練習している。また、女子歴代最多の全仏7度の優勝は、クレーの女王といえる。【吉松忠弘】