女子テニスの国別対抗戦フェド杯ワールドグループ2部入れ替え戦で、21日、日本が20年の同グループ2部残留を決めた。これにより、エースで世界1位の大坂なおみ(21=日清食品)が、20年東京オリンピック(五輪)に出るための出場資格獲得の選択肢が広がった。

大坂は、東京五輪に出場するための資格として今年か来年に、1度だけ代表戦でチーム入りをする必要がある。例外条件も規則にはあるが、五輪のテニス競技を統括する国際テニス連盟(ITF)から日本テニス協会には、その旨通達されている。

今回を含め2月のスペイン戦とともに今年、大坂は代表入りを辞退した。土橋登志久代表監督(52)は「5~10年先を見ている選手。今、詰め込みすぎても選手のためにならない」と話す。大坂は世界1位になったばかりで、多くの重圧もかかっているはずだ。そこを見越して土橋監督は快く受け入れた。

大坂自身は、土橋監督に「日本のために戦いたい」と、東京五輪に日本代表として出る意思表示をしている。また、東京五輪出場資格のために、残り1度、代表チーム入りをしなくてはならないことも理解しているという。

今年の代表戦は、この同グループ2部入れ替え戦対オランダで終了だ。大坂が、代表入りするには来年しか残されていない。東京五輪のテニス競技は7月25日開幕。それまでに代表戦がいくつできるかがカギで、それは今回の対戦にかかっていた。

日本は同グループ2部残留なので、来年、2月に同グループ2部で1対戦し、勝っても負けても、4月に入れ替え戦を1対戦できる。大坂には代表チーム入りできるチャンスが、東京五輪前に、少なくとも2度あることになる。

もし、今対戦で敗れていたら来年はアジア・オセアニアゾーンに転落していた。同ゾーンは毎年、2月に行われる。例年、7~8カ国が1カ所に集まり、グループ分けされ総当たり戦を行う。グループごとの1位が、最上位争い、最上位だけが4月の入れ替え戦に進む。

最上位にならなければ、2月で代表戦は終わる。大坂が東京五輪に出る資格を得るには、この同ゾーンの戦いに出るしかなかったわけだ。17、19年の開催場所はカザフスタン。18年はインドだった。土居美咲に言わせると「環境も食事も違い、毎日試合で本当に大変」というの同ゾーンだ。

そこに大坂が出場するのとワールドグループで戦うのでは、大きく違う。また、チャンスが2度あれば、スケジュールの組み立て方にも余裕ができるだろう。今回の代表選手たちは、もちろん、大坂のために戦ったわけではない。しかし、結果的に、大坂が東京五輪出場資格を得る選択肢が広がったのも事実だ。【吉松忠弘】