【ブダペスト=三須一紀】卓球世界選手権個人戦の女子シングルスで8強入りした平野美宇(19=日本生命)が27日、全日程を終え記者団のインタビューに応じた。

1月の全日本選手権では5回戦で敗れるなど、結果につながらない時期が長かったが、今大会で復活を大きくアピールした。ここまでの道のりで、卓球を辞めようと思ったほど、苦しい時期を過ごしたことを告白した。

17年10月から18年前半まで、「病んでいた。卓球はもういいかなと思っていた」とまで言った。17年10月、信頼する中国人コーチが諸事情で帰国したことが引き金となった。前回の17年世界選手権で3位となり、達成感も生まれていた。

「ラケットを握ると涙が出た。吐き気もした。卓球に対して良いイメージがなく、つらい、苦しい方が勝っていた」。18年2月、初めて3週間、練習を休んだ。ナショナルトレーニングセンターの合宿所の部屋に閉じこもった。

両親と相談して「苦しいんだったら辞めたら」と言ってくれ、JOCエリートアカデミーを出ることを決めた。「プロになって危機感を持たないとダメだと思った」。1年前倒しで、エリートアカデミーを修了した。

18年7月にはコーチが中国から戻り、今も指導を受ける。今では前向きな気持ちになり、来年の東京五輪を目指す。

「現役の時に、東京五輪があるのは恵まれている」と感謝し、「東京五輪が1つの区切り」と語った。20歳で迎える五輪だが、その後、選手を続けるかはまだ決めていないという。「明日、卓球を辞めても後悔がないよう、毎日練習に取り組んでいる」。それだけの覚悟を持って日々を過ごす19歳。世界8強が「ハリケーンみう」復活ののろしだ。