フィギュアスケートで14年ソチ五輪5位の町田樹氏(29)が9日、都内で行われた映画「氷上の王、ジョン・カリー」の試写会に出席した。

町田氏は同作品に字幕監修、学術協力として携わり、昨年10月にプロスケーター引退後、初の公の場に登場。字幕監修について「もともと翻訳されていたものを、フィギュアスケートのシーンに合うように監修しました」と振り返った。

英国人のジョン・カリーは、1976年インスブルック五輪の男子シングルスで金メダルを獲得。94年に死去したが、町田氏とは意外な縁があった。

町田氏はジュニア時代、07年10月に英国で行われたジュニアグランプリ「ジョン・カリー杯」で優勝。「私がジュニア時代に唯一、グランプリシリーズで優勝した大会」と明かした。また過去にフィギュアスケートの批評をする雑誌の連載で、第一回にジョン・カリーを扱ったといい今回の字幕監修、学術協力につながった。

町田氏はこれまで、演技やアイスショーの振り付けも行ってきた。その際に大事にしてきたことについて「優れた音楽をいかに体現するか。音楽が目に見えるように考えたし、動くタイミングも音楽に応じて構成する。音楽がスケーターの体から鳴っているようにする方法もあれば、音楽のコンセプトを抽出して体現する。最も大事にしていたのは音楽のビジュアライズ」と話した。

令和時代のフィギュアスケート界についても語った。「技術は革新的になる。その技術を使って何を表現したいか。振り付けする者も、演じる競技者もそれを頭に入れないといけない」と予測。さらに「競技を観ることについては、間違いなくAIが関与すると思う。オリンピック競技として勝ち負け、優劣を客観的にしないといけない。ただAIが好む演技ばかりではダメ。AIに支配されない演技ができる選手がスターになれると思う」と推測した。