男子フルーレ団体で世界ランク7位の日本が、同10位の中国を45-43で下して優勝した。

同種目での優勝は09年(平21)以来10年ぶり。個人戦で結果を出せなかった主将の松山恭助(22=JTB)が気を吐くなど、4人がチーム一丸となってアジアの頂点に立った。女子サーブル団体は、17年以来2年ぶりの3位になった。

   ◇   ◇   ◇   

40-39で迎えた最終ラウンド。じわじわと追いつかれて43-43となり、あと2点で決着。そんな状況にも松山は冷静だった。「どうやってもプレッシャーはなくならない。むしろ便乗して楽しんだ」。肩の力は抜け、この日1番の動きで、有効面の相手胴体を突いた。マッチポイントとなり、またひと突き。2連続ポイントで勝負を決めると、雄たけびを上げた。

最高の仲間が隣にいた。自分のミスで1度は5点差まで広げられたが、団体戦のみ出場の鈴村が大逆転すると、個人戦優勝の敷根が着々と点数を稼いだ。さらに12年ロンドン五輪で団体銀メダルの三宅も勝利に貢献。三宅は「ロンドンの時は太田雄貴とその仲間たちだった。でも今は1人1人が強い。松山が作ったこのチームは史上最強」とチームを評した。

今大会の成績は東京五輪の出場資格を決める世界ランキングに影響する。団体枠は大陸別の同ランクでアジアトップになれば獲得。08年北京、12年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪の前年に行われたアジア選手権に限れば、優勝した国のうち92%が翌年の五輪の団体枠を獲得している。韓国や香港、中国などライバルは多数いるが、20年東京五輪に間違いなく弾みをつける優勝になった。

次の五輪レースは7月の世界選手権(ハンガリー)。松山は「優勝はうれしいけど100%ではない。目指しているのは世界選手権とかオリンピック。もっとうれしさをみんなで共有したい」と“四位一体”でさらなる高みを目指す。【佐々木隆史】