【ウィンブルドン=吉松忠弘】世界2位の大坂なおみ(21=日清食品)がぼうぜん自失で会見を途中退出だ。同39位のプティンツェワ(カザフスタン)に6-7、2-6で敗退。センターコートで自身初の大会1回戦負けを喫し、自分を見失った。

次戦は8月5日からのロジャーズカップ(トロント)の予定だ。15歳のガウフ(米国)が過去5度の優勝を誇るV・ウィリアムズ(米国)を下した。

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厳しく言えば、まるで駄々をこねる子どものようだった。ショックのあまり、自分の感情を制御できない。義務づけられている会見で大坂は、わずか4分強、11問目の英語の質問に答えず「退席していい? 泣きそう」と進行役に伝えると、姿を消した。そして、2度と戻ることはなかった。

テニスの聖地センターコートで今年の女子、最初の試合だった。3回戦が過去最高の大坂だが、全米、全豪覇者に最大の礼儀を払い、大会は最高の舞台を用意した。大坂は、それに応えようと必死でもがいた。しかし、最後は糸の切れたタコのように集中を失った。凡ミスは、相手の5倍以上、38本に及んだ。

いきなり頂点に立った選手が、その後、重圧を味わうのは誰もが通る道だ。ケルバー(ドイツ)は16年全豪、全米を制し、ウィンブルドンは準優勝。しかし、翌年17年は4大大会で準々決勝にさえ進めなかった。会見で涙を見せ、退席した経験もある。日本テニス協会の土橋登志久強化本部長も「誰もが通る試練」と話す。ただ、誰もが、大坂のように感情にまかせて行動したりはしない。「私はまだ学ぶことは多い」のは確かだが、世界中の多くのファンは、憧れの目を持って、大坂を見ているはずだ。

大坂より1歳年下で、今年の全豪4強、男子6位のシチパス(ギリシャ)も1回戦で敗れた。「早く成功すると、それに対処するのに時間が必要か」と聞かれた彼は、次のように答えた。「それは言い訳にならない。ナダルやフェデラーは、同じ年齢で、十分に成長しプロとして振る舞っていた」。その言葉を、大坂に贈りたい。

◆WOWOW放送予定 3日午後6時55分、4日午前0時から。ともにWOWOWライブ。男女シングルス2回戦ほか。生中継。