【バーゼル(スイス)=松熊洋介】「トナミ運輸対決」は後輩が制した。保木卓朗(24)、小林優吾(24)組が21-16、18-21、21-15で園田啓悟(29)、嘉村健士(29)組を破り、世界選手権初メダル獲得を決めた。

「最初は実感が湧かなかったけど、自分たちのいいプレーができたと思う」という小林は勝利の瞬間、コートに倒れ込んで両手で顔を覆った。だが、先輩に勝ってメダルを確定させた喜びに浸ったのはその一瞬だけだった。

試合後の先輩とのあいさつが終わるとすぐに、2人で何かを話し始めた。小林は「次の試合に向けて良かった点を言い合った。(準決勝で)どちらのペアが来ても背が高く前衛での動きが速い。単に振るだけでなく、低いショットでコースに散らしていけたらという話をした」と気持ちはすでに準決勝へ向いていた。大会前に「メダルを取る」ことが目標だった2人は「メダルの色にこだわる」ことに意識を変えていた。

3ゲームにもつれる接戦となったが、納得いく内容で勝利した。1-1で迎えた第3ゲーム。奪われた第2ゲームの失敗をすぐに修正。小林は「第2ゲームまで相手は低空戦をさせようとしてきて、それに不用意に返してしまい、園田さんに打ちこまれた。第3ゲームは積極的に前にいって落とすようにした」。中盤以降、レシーブで崩したあと、相手のお株を奪うような連続攻撃で攻め続け、逃げ切った。

前日の3回戦後に「先輩たちに2回連続で勝ってこそ成長したことを証明できる」と話していた。敗れた嘉村が「本当に強い相手として臨んだけど、最後打ち切れず負けた」と実力を認めた2人。唯一残った男子ダブルスペアとして一番いい色のメダルを取りに行く。