2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会は25日、パラリンピック入賞メダルのデザインを発表した。両面とも、世界に新風を吹き込む意味を込めて「扇」をモチーフとした。大会独自の個性をより表現できる裏面には扇の中に、岩・花・木・葉・水を描き、日本の自然を表現した。

表面には国際パラリンピック委員会(IPC)の規定に基づき点字で「TOKYO2020」と彫られている。

メダル側面には視覚障害者でも感触で種類が分かるように、金は1つ、銀は2つ、銅は3つ、円形のくぼみを施した。このくぼみ加工は大会史上初。16年リオデジャネイロ大会ではメダルの中に鉄の球を入れて、金銀銅の区別をしていた。

直径85ミリの大きさは五輪メダルと同じ。重さは金が約526グラム、銀が約520グラム、銅が約430グラム。五輪メダルはそれぞれ約556グラム、約550グラム、約450グラムだった。

デザイナーコンペは五輪メダルと同時に行い、421人(うち1人は五輪メダルデザイナーの川西純市さん)から選ばれたのは博報堂プロダクツに務める松本早紀子さん(30)。千葉県浦安市生まれで、14年に多摩美術大を卒業し、同社に入社した。同社では飲食関連企業の子ども向け玩具・販促グッズデザインや、住宅メーカーの来場者向け販促グッズデザインを担当してきた。

松本さんは「デザイナーとして歴史的な大会に携わることができ、大変ありがたく思います。このメダルが選手と人々の心をつなぎ、新たな風を生み出す原動力となればうれしいです」とコメントした。

メダルリボンは五輪同様、金銀銅メダルが区別できるよう、シリコンプリントによる凸加工が施された。色は大会エンブレムの組市松紋の一部をあしらい、大会カラーの1つである「紅と桜」を基調とした。

メダルケースは五輪と同じ国産タモ材を使用した木製。日本伝統の藍色を使用し、円形のフタを開ければ、メダルがディスプレーできる置物としても利用できる。

素材は「都市鉱山」を再利用。携帯電話約621万台、全国1621の自治体から集まった小型家電約7万8985トンから取れた金属を精製し金約32キロ、銀約3500キロ、銅約2200キロを確保した。

メダル製造は昨年12月から始め、五輪約2450個、パラ約2360個が全て完成するのは来年5月の予定だ。【三須一紀】