【バーゼル(スイス)=松熊洋介】男子シングルス世界ランキング1位の桃田賢斗(24=NTT東日本)が同9位のアントンセン(デンマーク)を21-9、21-3の2-0で下して、圧倒的な力で連覇を飾った。

1ゲーム目は立ち上がりで1-5とリードされた。2-6から反撃に転じて、一気に8連続得点。7-6の場面では、スマッシュをストレートに打って前に出た相手を見て、クロスでネット際にドロップショットを決めた。相手をあざ笑うかのような超絶技巧。11-8からは9連続得点。少々の出遅れは問題にしない試合運びで21-9と大差をつけ、1ゲーム目を奪った。

2ゲーム目も、桃田の勢いは止まらない。開始から4連続ポイント。相手の1点を挟んで、再び8連続得点。10-1の場面では、ライン際に落ちた相手のスマッシュがインと判定されると、すぐに右手の人さし指を立ててチャレンジを要求。CGによる確認で判定がアウトに覆ったが、桃田は確信をしていたように表情ひとつ変えなかった。攻守ともに相手を圧倒した。

昨年は違法賭博による出場停止明けから3年ぶりの出場で、現在もライバルである石宇奇(中国)を破って男子シングルス日本人初優勝。その石宇奇も、同6位のアクセルセンも欠場した今大会。他のシード選手も敗れていく中、桃田だけは「しっかり準備できた」と準決勝まですべてストレートで勝ち上がってきた。

5試合の平均は約40分。序盤は相手の出方を見ながら戦う余裕がり、相手を動かしながら、自分は慌てることなく、甘い球が来たら強烈スマッシュで仕留める、まさに王者の試合運びで、最後まで相手を寄せ付けなかった。

18年9月に世界ランキング1位になってから、1度も落ちることなく頂点に君臨し続ける。ライバルが苦しみながら戦っている中「完全優勝」を飾った桃田。1年先の東京五輪まで、この強さは変わらない。

▽桃田賢斗の話 こんなにスムーズに優勝できるとは思っていなかった。たくさんの人に支えられて、たくさんの応援に支えられて、頑張ることができました。東京五輪に照準を合わせるんじゃなくて、1試合1試合、会場に足を運んでくれる皆様、サポートしてくださる皆様のために、1試合1試合、全力で戦っていきたい。